サックスを手に取り、憧れのメロディを奏でる時間は至福のひとときです。しかし、練習を終えた後に「首がズキズキする」「肩が凝って演奏に集中できない」と、身体の痛みを感じてはいませんか?
サックスは、金属の塊とも言える非常に重い楽器です。特にテナーサックスやバリトンサックスを愛用している方、あるいは小柄な女性やシニア世代の方にとって、その重量は想像以上の負担となります。
「自分の体力のせいだから仕方ない」と諦める必要はありません。実は、適切なストラップの選択と、ほんの少しの姿勢の改善だけで、演奏の苦痛は劇的に軽減できるのです。今回は、あなたのサックスライフをより長く、快適にするための「ボディケア」の視点から、ストラップ選びとフォームの極意を詳しく解説します。
目次
そもそもサックスの「重さ」はどれくらい?
私たちが首から下げているサックス、実際にどれくらいの重量があるかご存知でしょうか? 数字で見てみると、首への負担がいかに大きいかが分かります。

補足解説
一般的なサックスの重量目安は以下の通りです。
- アルトサックス: 約2.2〜2.5kg(大きめのペットボトル約5本分)
- テナーサックス: 約3.2〜3.6kg(新生児一人分に近い重さ)
- バリトンサックス: 約6.0〜7.0kg以上(スイカ一玉分の大重量)
この重量を細い紐一本で、繊細な頸椎(首の骨)だけで支えようとすると、血行不良や神経の圧迫を引き起こし、肩こりや頭痛の原因となります。
ストラップの種類とそれぞれのメリット・デメリット
「標準で付いてきたストラップをそのまま使っている」という方は、ぜひ一度、他のタイプを検討してみてください。最新のストラップは驚くほど進化しています。

補足解説
現在主流となっているストラップには、主に以下の3つのタイプがあります。
| タイプ | 特徴 | おすすめの人 |
|---|---|---|
| ネックタイプ | 首のみで支える標準型。コンパクトで着脱が容易。 | ソプラノ・アルト奏者、短時間練習の人 |
| ハーネスタイプ | リュックのように両肩と背中で支える。首への負担がゼロ。 | バリトン奏者、シニア層、腰痛持ちの人 |
| ブレード(肩掛け)型 | 左右の肩に重さを分散させる。首の前面が解放される。 | テナー奏者、女性、首を自由に動かしたい人 |
最近では「バードストラップ」や「ブレステイキング」といった、解剖学に基づいて設計された高品質なストラップも人気です。これらは「首の血管を圧迫しない構造」になっており、呼吸が楽になるという思わぬメリットもあります。
その痛み、実は「姿勢」が原因かも?
良いストラップを使っても痛みが消えない場合、原因は「楽器に自分を合わせにいっている」姿勢にあるかもしれません。
補足解説:疲れにくい正しいフォームのポイント
以下のチェックリストを確認してみてください。
- マウスピースを自分の方に持ってくる: サックスの位置が低すぎると、首を前に突き出してマウスピースを迎えにいってしまいます(亀の首状態)。これは首に最大の負担をかけます。ストラップの長さを調整し、真っ直ぐ前を向いた位置にマウスピースが来るようにしましょう。
- 重心は足の裏全体に: 立奏の場合は、背中を反らせすぎず、骨盤の上に上半身がまっすぐ乗るイメージを持ちます。
- 脇を締めすぎない: 肩に力が入りすぎると血流が止まります。卵一つ分くらいのスペースを脇に空ける意識を持つと、余計な力が抜けます。
体力に自信がないからこそ「プロの指導」を
「もっと若ければ」「筋肉があれば」と悩む必要はありません。むしろ、体力に自信がない人ほど、効率的な体の使い方を知ることで、誰よりも長く、美しくサックスを吹くことができます。
補足解説
独学では、自分の姿勢を客観的に見ることは非常に困難です。
| 個別指導のメリット | 内容 |
| 身体に合ったストラップの選定 | 体格や楽器の種類に合わせ、最適な機材をプロの目で見極めます。 |
| フォームのリアルタイム修正 | 自分では気づかない「力み」をその場で指摘し、解消します。 |
| 呼吸法の習得 | 腹式呼吸をマスターすることで、無理な力を使わずに音を鳴らせるようになります。 |
サックスは「力」で吹くものではなく、「バランス」で吹くものです。正しい知識を身につけることは、将来のケガを防ぐ最大の保険となります。
まとめ|身体の自由が、音楽の自由へつながる
サックスの重量による首や肩の痛みは、決して放置していいものではありません。痛みを我慢しながらの演奏は、せっかくの音楽の楽しさを半減させてしまいます。
自分の身体に合ったストラップを選び、正しい姿勢を身につけること。それは単なる「疲れ対策」ではなく、より豊かな表現力を手に入れるための「基礎練習」の一部なのです。
首への負担が消え、深い呼吸ができるようになったとき、あなたのサックスの音色はもっと伸びやかに、もっと美しく響き始めます。5年後も10年後も、笑顔でサックスを抱えていられるように。まずは今日のストラップの長さを見直すことから始めてみませんか?
身体への負担を減らして、もっとサックスを楽しもう!
クラブナージ音楽教室では、テクニックだけでなく、お一人おひとりの体格に合わせた「無理のないフォーム作り」も徹底サポート。
「首や肩の痛みが心配……」という方も、ぜひ一度ご相談ください。プロの講師が、あなたにとって最適な演奏環境を一緒に考えます。


