黄金色に輝くサックスを手にし、お気に入りのジャズやポップスを思いっきり奏でたい。そんな夢を持ってサックスを始めたものの、多くの社会人が最初にぶつかる壁……それが「自宅での練習場所」です。
サックスは、その華やかな音色ゆえに音量も非常に大きく、一般的な日本の住宅事情では、そのまま吹くことはまず不可能です。「近所迷惑が怖くて、結局週末にスタジオへ行くだけ」「平日はケースを開けることすらできない」という悩みを抱えていませんか?
楽器の上達には、たとえ短時間でも「毎日触れること」が何より大切です。そこで今回は、都市部に住む社会人プレイヤーのための「防音・消音の決定版」をお届けします。最新の便利グッズから、音を出さないのに効果抜群な練習の裏技まで、自宅練習を可能にするヒントを徹底解説しましょう。
目次
そもそも、サックスの音はどれくらい大きいの?
対策を考える前に、まずは敵(音量)を知ることから始めましょう。サックスの音量は、私たちが想像する以上にパワフルです。
| 音の大きさ | 目安・例 | サックス |
|---|---|---|
| 120dB〜 | 飛行機のエンジンの近く | ー |
| 100dB〜110dB | 車のクラクション、電車が通るガード下 | サックス(フォルテ演奏時) |
| 80dB〜90dB | パチンコ店内、犬の鳴き声 | サックス(通常演奏時) |
| 60dB | 普通の会話、静かな乗用車内 | 目指すべき防音後の数値 |
表を見るとわかる通り、サックスの音は「至近距離で鳴らされる車のクラクション」に匹敵します。これは、防音設備のない一般的な壁一枚では、隣の部屋へ丸聞こえになってしまうレベルです。だからこそ、物理的な消音や工夫が必要になるのです。
最強の消音器「e-Sax」とその実力
自宅で「自分の楽器」を吹くための最も有名な解決策が、消音ケースです。中でも世界中のプレイヤーに愛用されているのが、ベストブラス社の「e-Sax(イーサックス)」です。

補足解説:e-Saxはここが凄い
e-Saxは、楽器を丸ごと防音材の入ったケースに閉じ込めるという、力技ながら非常に合理的な仕組みです。
- 圧倒的な消音性能: 100dB近い音量を、話し声程度の60dB前後まで抑え込んでくれます。隣の部屋に人がいても、夜間でなければ気にならないレベルです。
- 自分の音をイヤホンで聴ける: ケース内にマイクが内蔵されており、自分の奏でる音を鮮明にイヤホンでモニタリングできます。これにより、「小さな音で吹く癖」がつくのを防げます。
- 普段のリードとマウスピースが使える: 自分のセッティングをそのまま使えるため、アンブシュア(口の形)の練習に最適です。
注意点: 楽器をケースに収める分、総重量が重くなります。また、ケース内で湿気がこもりやすいため、練習後はしっかりと水分を拭き取るなどのケアが不可欠です。
もう一つの選択肢「デジタルサックス」
「消音ケースは重すぎる」「もっと手軽に指を動かしたい」という方には、ヤマハの「YDSシリーズ」のようなデジタルサックスという選択肢もあります。
これは、アコースティックサックスとほぼ同じ運指(指使い)を持ちながら、電子音をヘッドホンで聴く仕組みです。
- メリット: 音量をゼロにできるため、真夜中でも練習可能です。非常に軽量で、リビングのソファでくつろぎながらでも練習できます。
- デメリット: 息を入れる感覚やリードの振動は本物と異なります。あくまで「指の練習」や「曲の構成を覚える」ためのサブ機として考えるのがベストです。

静かなのに効果抜群!今日からできる「練習の裏技」
「高価な消音器を買う余裕がまだない」という方でも諦めないでください。音をほとんど出さずに上達できる「裏技」が存在します。
1. マウスピースだけの「噛まない」練習
楽器本体はケースに仕舞ったまま、マウスピースとリード、リガチャーだけを取り出します。マウスピースをくわえ、音を出さずに「息だけ」を吹き込みます。 このとき、リードが振動するギリギリのポイントを意識してください。
【効果】正しいアンブシュア(口の形)の維持と、無駄な力を抜いた呼吸のトレーニングになります。
2. 「サイレント・フィンガリング」
音を一切出さず、指だけを動かす練習です。ただし、ただ動かすのではなく「音をイメージ」することが重要です。
- やり方: 楽曲のCDや音源を聴きながら、その曲に合わせて完璧に指を動かします。
- ポイント: キーを叩く「パタパタ」という小さな音すら、正確なリズムになるよう意識しましょう。
【効果】「指が回らない」原因の多くは、脳内のイメージと指の動きのズレです。この練習は、脳と神経を繋ぐ強力なトレーニングになります。
3. 超・弱音「サブトーン」の練習
もし少しだけ音が出せる環境(昼間の短時間など)なら、あえて「ささやき声」のような小さな音で吹く練習をしてみてください。これを「サブトーン」と呼びます。
【効果】大きな音で吹くよりも、小さな音を安定させる方がはるかに高度なコントロールが必要です。これができるようになると、表現力が飛躍的に高まります。
まとめ|工夫次第で自宅は「最高のスタジオ」に変わる
社会人のサックスライフにおいて、騒音問題は避けて通れない課題です。しかし、e-Saxのような道具を頼ったり、音を出さない「脳トレ」を取り入れたりすることで、自宅は立派な練習場所へと変貌します。
大切なのは、「完璧な環境が整うのを待たない」ことです。平日に10分でも指を動かし、マウスピースで呼吸を整える。その小さな積み重ねが、週末のスタジオやレッスンでの「爆発的な上達」を支えてくれます。
「練習場所がなくて、つい楽器から足が遠のいてしまっている……」という方は、ぜひこれらの方法を組み合わせてみてください。あなたのサックスが、再び美しい音色を(心の中でも、消音器の中でも!)奏で始めることを願っています。
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