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バイオリンのビブラート練習法

公開日:2026.02.07 更新日:2026.01.06クラシック楽器上達のコツ

バイオリンのビブラート練習法

プロのバイオリニストの演奏を見ていると、どうしても目が行ってしまう場所があります。
それは、激しく、あるいは優しく揺れ動く「左手」です。

その動きに合わせて、楽器からは艶やかで、切なく、どこまでも伸びていくような音が溢れ出します。
これこそがバイオリン最大の魅力であり、初心者が最も憧れるテクニック、『ビブラート』です。

「いつかあんな風に、気持ちを込めて揺らしてみたい!」
そう思って見様見真似で手を震わせてみたものの、ただ楽器がガタガタ揺れるだけで、ちっとも綺麗な音にならなかった…という経験はありませんか?

実はビブラートは、「感情」だけで揺らしているわけではありません。
そこには、緻密な物理的メカニズムと、用途によって使い分ける3つの型が存在します。

今回は、魔法のように思えるビブラートの正体を、少しマニアックな視点で解明していきましょう。なぜあなたのビブラートが上手くいかないのか、その理由が見えてくるはずです。

 

1. 音程か?音量か?ビブラートの物理的な正体

そもそも、手を揺らすことで音に何が起きているのでしょうか?
「音が震えている」というのは感覚的な表現ですが、物理学的に言うと、以下の2つの変化が考えられます。

  • AM(振幅変調): 音の「大きさ(音量)」が大きくなったり小さくなったりする
  • FM(周波数変調): 音の「高さ(音程)」が高くなったり低くなったりする

バイオリンのビブラートの正体は、主に後者の「FM(周波数変調)」です。
つまり、正しい音程を中心にして、少し低い音と少し高い音を行ったり来たり繰り返しているのです。

「指先を転がす」

「手を揺らす」というと、指を弦の上でスライドさせている(滑らせている)と思われがちですが、それは間違いです。
実際には、「指の肉のクッションを使って、指先を転がしている」のです。

指の第一関節を柔らかく使い、爪の方(音程が高くなる)と、指の腹の方(音程が低くなる)へ交互に重心を移動させます。
これにより、弦を押さえる接地面がわずかにズレて、弦の振動する長さが変わり、音程が揺らぐのです。

マニアック解説:心地よい「揺らぎ」の幅

では、どれくらい音程を変化させれば「美しい」と感じるのでしょうか?
ここで登場するのが「セント(cent)」という単位です(半音=100セント)。

一般的に、心地よいビブラートの揺れ幅は、中心の音から「上下に10〜20セント程度(半音の1/5〜1/10)」と言われています。
これ以上揺れ幅が大きすぎると「音痴(音が外れている)」に聞こえ、小さすぎると「ただの不安定な音」に聞こえます。
プロはこの数ミリにも満たない微細な幅を、1秒間に5回〜7回という一定の周期でコントロールしているのです。

 

2. 腕・手首・指…状況で変わる「3つのビブラート」

一口に「手を揺らす」と言っても、動力源(エンジン)をどこにするかで、ビブラートは大きく3つの種類に分けられます。
プロは曲の雰囲気や、弾くポジションによってこれらを無意識に使い分けています。

① 腕ビブラート(Arm Vibrato)

肘(ひじ)を支点にして、前腕全体を大きく揺らす方法です。
【特徴】 パワフルで幅の広いビブラートがかかります。
【使われる場面】 朗々としたメロディ、G線(一番低い弦)での情熱的なソロパート、フォルテ(強音)で弾くときなど。
ダイナミックな表現が可能ですが、動きが大きいぶん、細かいコントロールには技術が必要です。

② 手首ビブラート(Wrist Vibrato)

手首を支点にして、手のひらを煽ぐ(あおぐ)ように動かす方法です。
【特徴】 最も一般的で、美しい波形を作りやすい「王道」のビブラート。
【使われる場面】 あらゆる場面で使えます。優雅で歌うような表現に適しており、速度の調整もしやすいため、まずはこれを習得することが多いです。

③ 指ビブラート(Finger Vibrato)

指の付け根の筋肉を使って、指先だけを細かく動かす方法です。
【特徴】 揺れ幅が狭く、速くてちりめんのような細かい振動になります。
【使われる場面】 腕や手首が動かしにくい「ハイポジション(ボディに近い高い音域)」や、繊細な消え入るような音を出したいとき。

 

3. 初心者が最初から練習してはいけない「危険な理由」

ここまで読んで、「よし、今すぐ練習しよう!」と思った方。
少しだけ待ってください。

実は、ビブラートはバイオリンの習得プロセスにおいて、ある程度基礎が固まってから取り組むべき「応用技術」です。
初心者がいきなり見様見真似で手を揺らすと、高確率で次のような弊害が起きます。

独学ビブラートの罠
  • 楽器ごと揺れてしまう: バイオリンを顎(あご)と肩でしっかり挟めていないと、左手の動きにつられて楽器全体がグラグラ揺れます。これでは弓が安定せず、音が汚くなります。
  • 音程が崩壊する: 正しい音程(ツボ)が分かっていない状態で揺らすと、ただの「音痴な演奏」になってしまいます。
  • 変なクセがつく: 「ちりめんビブラート」と呼ばれる、痙攣したような細かい震えがクセになると、後から修正するのは非常に困難です。

ビブラートをかけるためには、「左手の親指と人差し指の付け根が、ネックから離れてリラックスしている状態」を作る必要があります。
初心者のうちは、どうしても楽器を落とさないようにネックを強く握りしめてしまいがち。
その状態で無理に手を揺らそうとすると、手首や筋を痛める原因にもなりかねません。

 

4. 先生は「補助輪」。感覚をインストールしてもらう近道

では、どうすれば安全に、あの美しいビブラートを習得できるのでしょうか?
一番の近道は、「先生に直接教えてもらうこと」です。

自転車に乗れるようになった時のことを思い出してみてください。
最初は誰かに後ろを支えてもらいながら、バランス感覚を覚えましたよね?ビブラートも全く同じです。

この「他力本願」な練習こそが、脱力の感覚を掴むための最強のメソッドです。
動画を見るだけでは分からない「力の抜き加減」や「揺らす方向」を、肌感覚で直接インストールすることができるのです。

基礎がしっかりしていれば、ビブラートは決して難しいテクニックではありません。
あなたの音が「歌い出す」その瞬間を、私たちと一緒に迎えてみませんか?

あなたの音色に「魔法」をかける準備はできていますか?

クラブナージ音楽教室では、楽器の持ち方の基礎から、憧れのビブラート習得まで、お一人お一人のペースに合わせて丁寧に指導します。
まだ楽器をお持ちでない方も、レンタル楽器で体験レッスンが可能です。
まずは一度、バイオリンという楽器の奥深さに触れてみてください。

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こちらの記事もぜひ!▶バイオリン初心者の悩みNo.1『ギコギコ音』はなぜ出る?

 

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