バイオリン初心者の悩みNo.1『ギコギコ音』はなぜ出る?
公開日:2025.12.20 更新日:2025.12.14クラシック楽器上達のコツ
「バイオリンを始めてみたいけれど、近所迷惑にならないか心配…」
「もし、あのアニメの『しずかちゃん』のような、耳をつんざくような音しか出せなかったらどうしよう…」
これからバイオリンを始めようとする多くの方が、まず最初に抱くのがこの「音色」への不安ではないでしょうか。優雅に、艶やかに歌うようなバイオリンの音色に憧れて楽器を手にしたはずなのに、いざ弾いてみると「ギーッ!」「ガリガリッ」という、まるでノコギリを引くような音が響き渡る。これは、独学でバイオリンを触ったことがある人の9割が経験すると言っても過言ではない、「初心者の通過儀礼」です。
でも、安心してください。 あなたが「音楽の才能がない」から、汚い音が出るのではありません。 バイオリンが「ギコギコ」と鳴ってしまうのには、実は非常に明確な「物理的な理由」が存在します。
裏を返せば、その理屈さえ知ってしまえば、今日初めて楽器に触る人であっても、プロのように透き通った音を出すことは十分に可能なのです。今回は、多くの初心者を悩ませる「雑音」の正体と、それを「美音」に変えるための具体的な秘密を、専門的な視点も交えつつ、分かりやすく紐解いていきましょう。
目次
1. なぜバイオリンは「ギコギコ」と鳴るのか?物理的な原因を知ろう

まず、敵を知ることから始めましょう。「なぜ変な音が鳴るのか」を理解せずに、闇雲に練習しても、残念ながら綺麗な音にはたどり着けません。バイオリンの音が鳴る仕組みは、実はとても繊細なバランスの上に成り立っています。
原因その①:弓の圧力が強すぎる(通称:ノコギリ引き)
最も多い原因がこれです。 初めてバイオリンを持つと、どうしても「音を出そう!」と意気込んでしまい、右手に力が入ります。すると、弓の毛を弦に強く押し付けすぎてしまうのです。
バイオリンの弦は、弓の毛にある小さな突起(キューティクル)が弦を引っかき、その振動がボディに伝わることで音が鳴ります。しかし、上から強く押し付けすぎると、弦がスムーズに振動できず、「振動が押しつぶされた悲鳴」として「ギーッ!」という音が生まれます。
イメージしてみてください。猫の背中を撫でるとき、強く押し付けたら猫は怒って逃げてしまいますよね?優しく、毛並みに沿って撫でるからこそ、気持ちよさそうにしてくれます。バイオリンも全く同じです。弦を「押し付ける」のではなく、「撫でて振動させる」感覚が必要なのです。
原因その②:弓の場所が定まっていない
バイオリンには、弓を走らせるための「最適な道路」があります。それは、**「駒(こマ・弦を支えている木の板)」と「指板(しばん・黒い板)」のちょうど中間**です。
上手な人の演奏を見ると、弓が常にこの「中間地点」をキープして動いています。しかし、初心者のうちは弓があっちに行ったりこっちに行ったり、安定しません。
- 駒に近すぎる場合: 金属的で硬い、キーキーという音になりがちです。
- 指板に近すぎる場合: 音がスカスカになり、芯のない音になります。
特に、弾いているうちに無意識に弓が手前(指板の方)に滑っていってしまうことが多いです。これは、鏡を見ながら「弓の通り道」を確認するだけで、劇的に改善することがあります。
原因その③:松脂(マツヤニ)の量が不適切
意外と盲点なのが、弓の毛に塗る「松脂」の量です。 「音が鳴らないと怖いから」と、真っ白になるほどたっぷりと塗りたくっていませんか?
松脂は、ツルツルの馬の毛に摩擦を与えるための「滑り止め」です。しかし、これが多すぎると、粉っぽくザラザラした音(ジャリジャリ音)の原因になります。逆に少なすぎると、弦の上を弓がツルッと滑ってしまい、音がスカスカになります。
適切な量は、弓の毛を指で軽く弾いたときに、ほんの少し粉が舞う程度。あるいは、3〜4回往復させて塗る程度で十分な場合が多いです。道具の状態一つで音が変わる、それがバイオリンの奥深さでもあります。
2. プロも実践!綺麗な音色を出すための最大の秘密「右手の脱力」

物理的な原因がわかったところで、次はテクニックの話に移りましょう。 「ギコギコ音」を卒業し、艶やかな音を手に入れるためのキーワード、それは**「脱力」**です。
「頑張る」ほど音は汚くなる?独学の落とし穴
真面目な人ほど陥りやすい罠があります。それは、「良い音を出そうとして、一生懸命に弓を握りしめてしまう」ことです。
親指に力が入り、肩が上がり、腕全体がガチガチに固まった状態…。これでは、腕の重さがスムーズに弓に伝わらず、代わりに「筋肉の力」で無理やり音を出すことになります。これが、あの耳障りな音の正体です。
プロのバイオリニストの右手を見てみてください。指がふんわりと柔らかく動き、まるで羽を持っているかのように見えませんか?彼らは、弓を「握って」はいません。指先で「支えている」だけなのです。
「腕の重さ」を乗せる感覚を掴もう
では、どうすれば力を抜いて大きな音が出せるのでしょうか? 答えは、「腕の重さ(重力)」を利用することです。
腕の重さは、成人女性でも片腕で3〜4kgあると言われています。この重さを、だらんと脱力して弓に乗せてあげるだけで、十分すぎるほどの圧力が弦にかかります。自分でグイグイと押し付ける必要は全くないのです。
この「脱力して重さを乗せる」感覚は、言葉で読むと簡単そうですが、実際に体得するのは非常に難しいものです。独学だと、どうしても「抜いているつもり」になってしまいがち。ここが、多くの人が挫折してしまうポイントでもあります。
まとめ:バイオリンは「難しい」けれど、正しい方法なら「必ず弾ける」
バイオリンの「ギコギコ音」には、必ず理由があります。
- 弓を強く押し付けすぎている(摩擦過多)
- 弓の通り道が安定していない
- 右手の脱力ができていない
- 道具(松脂や弦)の状態が悪い
これらは、正しい知識と、第三者による適切なアドバイスがあれば、誰でも解消できる問題です。 「自分にはセンスがない」と決めつける前に、一度、プロの先生にあなたの音を聴いてもらいませんか?
あなたの手元にあるその楽器は、本来もっともっと美しい音色を隠し持っています。その音色を引き出し、自由にメロディを奏でる喜びを、ぜひ味わってください。
まずは手ぶらでOK!「美しい音」を体験しに来ませんか?
クラブナージ音楽教室では、初心者の方大歓迎のバイオリンレッスンを行っています。 「楽譜が読めない」「楽器を持っていない」という方でも大丈夫。楽器のレンタルも完備しており、お仕事帰りに手ぶらで通っていただけます。
マンツーマンレッスンで、あなたのペースに合わせて、弓の持ち方から丁寧にサポートします。まずは体験レッスンで、「私でもこんなに綺麗な音が出せるんだ!」という驚きを体感してみてください。


