マニアックだけど魅力的な民族楽器の世界
公開日:2026.02.02 更新日:2026.01.06和楽器・民族楽器音楽を始めよう♪
普段、私たちが耳にする音楽といえば、ピアノやギター、ドラムといったお馴染みの楽器で構成されていることがほとんどですよね。ポップスにロック、ジャズにクラシック。どれも素晴らしい音楽ですが、世界には私たちの想像を遥かに超える「未知の音」を奏でる楽器たちが数多く存在しています。
「民族楽器」と聞くと、なんだか難しそうだったり、博物館に飾ってあるような古めかしいものをイメージしたりするかもしれません。でも、実はもっと自由で、もっと奥深く、そして何より「えっ、こんな音が出るの!?」という驚きに満ちているんです。
今回は、そんな広大な音楽の海から、ちょっとマニアックだけど一度聴いたら忘れられない、不思議で魅力的な民族楽器たちをピックアップしてご紹介したいと思います。
目次
草原を渡る風の音色「馬頭琴(ばとうきん)」

まず最初にご紹介するのは、モンゴルの草原が生んだ弦楽器、「馬頭琴(ばとうきん)」です。 小学校の国語の教科書で『スーホの白い馬』という物語を読んだ記憶がある方も多いのではないでしょうか。あの物語に出てくる楽器こそが馬頭琴です。
その名の通り、竿の先端が馬の頭の形に彫刻されているのが最大の特徴です。見た目のインパクトもさることながら、特筆すべきはその構造と音色にあります。 実はこの楽器、弦も弓も「馬のしっぽの毛」で作られているんです。何十本、何百本と束ねられた馬の毛が擦れ合うことで、あの独特の響きが生まれます。
その音色は、一度聴くと胸が締め付けられるほど哀愁を帯びています。バイオリンやチェロとも違う、どこかハスキーで、風が草原を吹き抜けていくような、あるいは遠くで誰かが呼んでいるような……そんな郷愁を誘う響きを持っています。 モンゴルでは、この馬頭琴の音色には不思議な力が宿ると信じられています。
たとえば、出産で難産だったラクダのお母さんに馬頭琴を聴かせると、涙を流して子ラクダにお乳を与えるようになった、なんていう伝説的な話もあるほど。動物の心さえも動かすその音色は、現代社会で忙しく過ごす私たちの心にも、優しく染み渡ることでしょう。
宇宙と交信する円盤?「ハンドパン」

次にご紹介するのは、見た目が完全にUFOな楽器、「ハンドパン」です。 「これって民族楽器なの?」と思われるかもしれません。確かに、これは2000年頃にスイスで発明された比較的新しい楽器です。しかし、カリブ海の「スティールパン」や、インドの壺型打楽器「ガタム」などの民族楽器からインスピレーションを受けて生まれており、その精神性はまさに現代の民族楽器と呼ぶにふさわしいものです。
金属製のドームを合わせたような形状をしていて、表面にはいくつかのくぼみがあります。ここを指先や手のひらで優しく叩くことで音を出すのですが、その音が本当にすごいんです。 「ポーン……」という、水滴が落ちたような、あるいは鐘の音のような、倍音を多く含んだ幻想的な響き。目を閉じて聴いていると、まるで宇宙空間を漂っているかのような、深いリラックス状態に誘われます。
楽譜通りにきっちり演奏するというよりは、その時の気分に合わせて即興で叩くスタイルが主流です。叩けば美しい音が鳴るように設計されているため、音楽理論を知らなくても、触ったその日から「何となくいい感じ」の曲が弾けてしまうのも魅力の一つ。 最近では、ヨガや瞑想のBGMとしても非常に人気が高まっています。公園の芝生の上で、膝の上にこのUFOのような楽器を乗せてポロンポロンと奏でる……そんなスローライフな趣味として、密かに愛好者が増えているんですよ。
大地の呼吸を感じる「ディジュリドゥ」

さて、お次は南半球、オーストラリアへ飛んでみましょう。アボリジニの人々が1000年以上前から吹き続けている世界最古の管楽器の一つ、「ディジュリドゥ」です。 名前の響きからしてユニークですが、実物もかなりワイルドです。基本的には、シロアリが中を食べて空洞にしたユーカリの木、ただそれだけ。人工的に穴を開けたのではなく、自然の力で空洞になった木を使うというのが、なんとも神秘的ですよね。
長さは1メートルから1.5メートルほどの長い筒状で、唇を震わせて「ボォォォォ……」という重低音を鳴らします。 この楽器の最大の特徴は、「循環呼吸」という特殊な奏法を使うこと。鼻から息を吸いながら、同時に口から息を吐き続けるという、一見すると人間離れしたテクニックです。これにより、息継ぎで音が途切れることなく、永遠に続くような持続音を出すことができるのです。
その音は、まさに「大地の唸り」。低周波のような振動がビリビリと体に伝わってきて、聴くというよりは「浴びる」という表現がしっくりきます。 近年では、この循環呼吸が喉の筋肉を鍛えるのに役立つとして、睡眠時無呼吸症候群の改善効果が期待されるなど、健康器具(?)としての側面も注目されていたりします。太古の音色が現代人の健康を救うかもしれないなんて、ロマンがありますよね。
未知の楽器に触れることは、新しい自分に出会うこと
今回は、馬頭琴、ハンドパン、ディジュリドゥという、少しマニアックで個性豊かな楽器たちをご紹介しました。 これらの楽器に共通しているのは、「完璧な演奏」よりも「音そのものを楽しむ」という側面が強いことかもしれません。
ピアノやバイオリンのようなクラシック楽器は、どうしても「正しい音程」「正しいリズム」といった修練が必要なイメージがあります。もちろん、それらを極める喜びは何物にも代えがたいものです。 しかし、民族楽器には、もっと本能的で、原始的な「音を出す喜び」があります。馬の毛が擦れる音、金属が響く音、木が唸る音。それらは、私たちが言葉を持つ前から感じていた、自然界の音に近いのかもしれません。
もし、あなたが「何か楽器をやってみたいけど、楽譜も読めないし……」と躊躇しているなら、こうした民族楽器から入ってみるのも一つの手です。あるいは、既に何かの楽器を演奏している方が、サブ楽器として手にするのもおすすめです。違うアプローチで音楽に触れることで、本職の楽器にも良い影響を与えることがよくあるからです。
音楽の世界は、私たちが思っているよりもずっと広く、自由です。 いつものプレイリストから少し寄り道をして、まだ見ぬ音色を探す旅に出てみませんか?そこにはきっと、あなたの感性を揺さぶる素敵な出会いが待っているはずです。
音楽で、あなたの世界をもっと広げてみませんか?
クラブナージ音楽教室では、ピアノやバイオリンなどポピュラーな楽器だけでなく、カホンや大正琴、二胡など民族楽器のレッスンも行っています。
「この曲を弾いてみたい」「基礎からしっかり学びたい」「仲間と音楽を楽しみたい」
そんなあなたの想いを、経験豊富な講師陣が丁寧にサポートします。
まずは気軽に、体験レッスンで音楽の楽しさを体感してみませんか?


