ファンクとは|音楽ジャンル解説シリーズ
公開日:2025.11.21 更新日:2025.11.18バンド楽器音楽のマナビ
「音楽は耳で聴くもの」というのは半分正解で、ファンク(Funk)に関しては「身体で感じるもの」だと言ったほうがしっくりきます。
突き上げるようなベース、跳ねるリズム、汗とグルーヴにまみれた演奏。そして自然と「うっ!」と声が出そうになる高揚感──それがファンクです。 本記事では、ファンクの名前の由来からサウンドの特徴、代表曲、関連ジャンルまで、初心者にもわかりやすく解説します。リズムに身を任せながらお楽しみください!
目次
1. ファンクという名前の由来と歴史
「ファンク(Funk)」という言葉は、元々アメリカの黒人スラングで「汗臭い」「生々しい」「むせかえるような感覚」といった意味を持ちます。 つまり「ファンキー」であることとは、「作り込まれた上品な音楽」ではなく、「本能的で、衝動的で、思わず身体が揺れてしまうグルーヴ」を指します。
ファンクの成立は1960年代後半とされます。ゴスペルやR&B、ソウルの影響を受けた黒人音楽の中から、「もっとリズムを前に出したい」「メロディよりもノリが欲しい」という発想が生まれました。
中でもジェームス・ブラウン(James Brown)はファンクの“ゴッドファーザー”として知られています。彼は1965年の「Papa’s Got a Brand New Bag」や「I Got You (I Feel Good)」で、「1拍目を強調する」独自のビートスタイル=“On the One”を確立し、ファンクの原型を作り上げました。
その後、1970年代にはSly & the Family StoneやParliament-Funkadelic(P-Funk)がサイケデリックな演出を取り入れ、ファンクをより自由かつスペーシーな音楽へと進化させました。さらに80年代にはPrinceがポップスやロックと融合しながら、新たなファンク像を提示しました。
2. ファンクのサウンドと構成の特徴
ファンクを理解する最大のポイントは「リズムが主役」であることです。メロディやコード進行よりも、「ノリ=グルーヴ」を最優先にしています。以下に特徴をまとめましょう。
- 1拍目の強調(On the One):「ドン!」と1拍目で強くアクセントを置く。
- ベースラインが主導:うねるようなベースが曲を引っ張る。
- ドラムは細かく刻む:スネアやハイハットがタイトにリズムを構築。
- ギターはカッティング:短く刻む「チャカチャカ」という音が特徴的。ワウペダルの使用も顕著。
- ホーンセクションがアクセント:トランペットやサックスがリズムに合わせて鋭く入る。
- コール&レスポンス:歌手とバンド、または観客との掛け合いが多い。
ファンクは「複雑な構成」よりも「身体が踊り出す瞬間」を生み出すことに重点が置かれています。
3. 代表的なファンク楽曲3選
ファンク入門に最適な3曲をご紹介します。
- James Brown – “Get Up (I Feel Like Being a) Sex Machine”
「ファンクとは何か?」を問われたら、この曲を聴かせればOK。ビート、掛け声、グルーヴの全てがファンクの教科書。
- Sly & the Family Stone – “Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)”
ベースラインの重要性を世界に知らしめた名曲。バンド全体でリズムを共有するファンクの喜びが詰まっている。
- Parliament – “Give Up the Funk (Tear the Roof off the Sucker)”
宇宙規模のノリとコール&レスポンスで盛り上がる、P-Funkの代表曲。巨大なステージ演出も話題に。
ほかにもRick James「Super Freak」やPrince「Kiss」など、時代ごとに異なる個性を持つ名曲が数多く存在します。
4. ファンクと近接ジャンル
ファンクはその後、多くのジャンルに影響を与えました。
- ディスコ:ダンスフロア向けにファンクをよりキャッチーにした音楽。
- ヒップホップ:ファンクのブレイクビーツがサンプリングされ、ラップ文化へ繋がる。
- R&B:グルーヴとメロディを融合した進化形。
- ネオファンク/ミネアポリスサウンド:Princeを中心とする80年代以降のデジタル+ファンク。
- ジャズ・ファンク:ジャズと融合し、複雑なアレンジと即興性を加えたスタイル。
5. なぜファンクは今も愛されるのか
ファンクは「頭で理解する音楽」ではなく、「身体が理解してしまう音楽」です。 歌詞がわからなくても、言語や国境が違っても、ベースが鳴り始めた瞬間に「なんかノる…!」という現象が起こります。これこそがファンク最大の魅力です。
また、ファンクのグルーヴはヒップホップや現代のR&B、さらにはK-POPやJ-POPにも受け継がれており、時代を超えて生き続けています。
もし疲れたときや気分を上げたいときには、まずジェームス・ブラウンに「Get up!」と言ってもらってください。気がつけば、あなたの身体も“On the One”で動き出すはずです。
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