グラムロックとは|音楽ジャンル解説シリーズ
公開日:2025.11.16 更新日:2025.10.21バンド楽器音楽のマナビ
目次
グラムロックという音楽ジャンルについて解説します
きらびやかな衣装、きついアイライン、スパンコール。けれど耳に届くのは、骨太なビートとシンプルで巨大なリフ――それがグラムロックです。 派手な見た目に気を取られがちですが、核はロックンロールの快感を“劇場化”したところにあります。ここでは、名前の由来から代表曲、近接ジャンルまでをやさしく整理します。
1. 名前の由来と歴史
「グラム(Glam)」は「グラマラス(Glamorous)」=魅惑的・華やかなの略。1960年代末の英国で、ロックに演劇性と中性的な美学を持ち込んだ動きが始まり、 1971年前後にT・レックス(Marc Bolan)の成功で一気に拡散しました。続いてデヴィッド・ボウイが“Ziggy Stardust”という架空のロックスター像を提示し、ロキシー・ミュージック、スレイド、スウィート、モット・ザ・フープル、スージー・クアトロらが英国チャートを席巻。アメリカではニューヨーク・ドールズやKISS、ショック・ロックのアリス・クーパーなどが同時代的に呼応しました。ブームは70年代前半をピークに、後年はニュー・ウェイブやハードロックへと美学を受け渡していきます。
2. サウンドと構成の特徴
外見は華美でも、音は驚くほど直球。50~60年代ロックンロールの延長に、巨大化したリズムとコーラスを加えた作りが基本です。
- “グラム・ストンプ”のビート:キックと手拍子、フロアタムで作る踏み鳴らすような2拍・4拍。大合唱が似合う。
- 太いリフとパワーコード:ギターは歪み強め、フックのある単純明快なモチーフを繰り返す。
- コーラス/掛け声:観客参加型のサビ。歌いやすさ優先でメロは甘すぎず辛すぎず。
- 演劇性・ペルソナ:宇宙、未来、退廃、ジェンダー越境などをモチーフに“キャラクターとして歌う”。
- 装飾的プロダクション:手拍子、クラップ、サックスやピアノのオブリを足して“厚み”を演出。
まとめると、耳は原始的、目は未来的。二つをぶつけることで“即効性のある非日常”を作るのがグラムの設計思想です。
3. 代表的な楽曲3選(入口に最適)
- T. Rex「Get It On(Bang a Gong)」(1971)
うねるリフとウィスパー気味の色気。ミニマムな素材で最大のグルーヴを生む、グラムの模範解答。
- David Bowie「Ziggy Stardust」(1972)
架空のロックスターの栄光と墜落を、端正なギターと抑制の効いたメロで描く。グラムの物語性を体現。
- Sweet「Ballroom Blitz」(1973)
ドラムの点呼から一気に爆発する合唱型アンセム。手拍子とコーラスの快感が“グラム・ストンプ”の真髄。
他にも、Mott the Hoople「All the Young Dudes」(作・Bowie)、Roxy Music「Virginia Plain」、Slade「Cum On Feel the Noize」など、どれも“でかいサビ+装飾ビート”が合言葉です。
4. 関連・近接ジャンル
- アートロック/グラムの知的側:Roxy Musicや後期Bowieはサウンドを洗練させ、ニュー・ウェイブ/シンセ・ポップに接続。
- プロト・パンク:New York Dollsの粗削りな衝動はパンク前夜の空気を準備。見た目の挑発性も共有。
- ハードロック/グラム・メタル:KISSの劇場性は80年代の“グラム・メタル”(Motley Crüe など)の源流に。
- ニュー・ロマンティック:80年代UKの華美なビジュアル(Duran Duran等)は、グラムの美学を電子化した継承。
- ブリットポップ/オルタナ:OasisがSladeを、SuedeはBowie~Roxyの線を再提示。90年代以降も遺伝子は生き続ける。
5. なぜ今も魅力的なのか
グラムは“見せること”の力を、ロックに再注入しました。音楽は耳だけでなく、物語・装い・態度を含む総合芸術である――この前提は現代ポップの常識です。 サウンドは簡潔、イメージは濃密。だからこそ時代やジャンルを越えて、何度でもリブートされます。
6. ちょっとした聴き方ガイド
まずはリフと手拍子に身を任せてください。歌詞の細部より、サビの“装飾された一撃”を体で覚えるのが早道。 Bowieはアルバムで世界観を、T. RexやSweetはシングルで快感を、それぞれ最良の形で届けてくれます。
派手=浅い、ではありません。派手さで“場”をつくり、簡潔なロックで“心”を打ち抜く――それがグラムロックです。
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