ブリットポップとは|音楽ジャンル解説シリーズ
公開日:2025.11.08 更新日:2025.10.21バンド楽器音楽のマナビ
目次
ブリットポップという音楽ジャンルについて解説します
「90年代のイギリスで流行ったロック?それってグランジじゃなくて…ブリットポップ?」──そんなふうにぼんやりと記憶している方も多いかもしれません。
今回は、ややマニアックだけれども「音楽好きなら知っておきたい」ジャンル、<ブリットポップ(Britpop)>について、名前の由来から歴史、サウンドの特徴、代表的な楽曲、さらには関連/近接ジャンルまで、音楽に詳しくない方にもわかりやすくご紹介します。
1.名前の由来と歴史

まず「ブリットポップ」という言葉、ちょっとおしゃれですが、どうしてそんな名前なのでしょう?“Brit”=“British(英国の)”+“pop(ポップ/大衆的な音楽)”というシンプルな構造です。つまり「英国風ポップ(ロック)をやろう!」という意識がそのまま表れた言葉です。実際、英国らしさ=“Britishness”を強調したムーブメントでした。
歴史をたどると…
- 1980年代末~1990年代初頭、イギリスではインディ・ロック(独立系ギターバンド)シーンが盛んでした。同時に、米国発のグランジ(grunge)が世界的に注目されていた時期でもあります。
- その頃、「アメリカの暗めのサウンド(例えばグランジ)とは対照的に、もう少し“英国らしい”、ギター・ポップの伝統を受け継いだ明るめのロックを」という動きが生まれます。これがブリットポップの背景の一つです。
- 1993~1997年頃がブリットポップの“黄金期”とされ、とくに1994~1996あたりに最も盛り上がりました。
- 1995年には、Blur と Oasis のチャート競争「バトル・オブ・ブリットポップ(The Battle of Britpop)」が話題となり、ムーブメントは一気にメディア/大衆の注目を浴びます。
- その後、1990年代後半にはブリットポップ自体が方向転換を迫られ、ポスト・ブリットポップへ、あるいはインディ・ロック的な流れへ移行していきます。
つまり、ブリットポップとは「英国のギターバンドが、自国文化・ポップ感覚・ロック精神を兼ね備えて、1990年代中盤に華やかに(でも短命に)咲いた音楽ムーブメント」であったと言えます。
2.サウンドや構成の特徴
では、具体的に“これを聴けばブリットポップがわかる”というポイントを解説します。音楽に詳しくなくても「なんとなくそう感じる」要素を挙げてみましょう。
- ギター/ポップ・メロディ重視
ブリットポップでは、ギターを主体とした明快なメロディが好まれます。60年代のブリティッシュ・インヴェイジョン(例:The Beatles や The Kinks)や70年代のグラム・ロック、80年代のインディ・ポップなどから影響を受けています。 - 歌詞・テーマが“英国らしい”/日常的な視点
単に恋愛・悲しみだけではなく、「英国人ってこんなこと考えるよね」「この街、あの街、あのカフェ」というような、自国文化・風景を反映した歌詞が多いです。例えば「普通の人々 (common people)」というテーマを扱う曲も。 - 明るさとちょっとした反骨/ノスタルジー
時にポップでキャッチー、でもどこかで「80年代の過剰なヘアメタル」「アメリカのグランジ」が気に入らないぞというムードもあります。つまり「自分たちの英国らしさを取り戻そう」という意識。 - 構成的な特徴:シングル感/コーラス重視
多くの曲が「歌→コーラス→盛り上がる」形式を持ち、ライブやシングルヒットを意識した作りになっています。ギターの重さだけでなく、“歌って楽しい/みんなで歌える”という部分も重視。
要するに、ブリットポップは「ギターを鳴らしつつ、キャッチーで英国的ムードもあり、歌詞も“ここが英国だぜ”という風景を描く」音楽、ということです。そしてこの“英国であること”が、当時の文化ムーブメントとしても重要でした。
3.代表的な楽曲3つ
では、「まずはこの3曲を聴けばブリットポップの雰囲気がわかる!」という曲をピックアップします。どれも“英国ギター・ポップ”として典型的です。
- Common People – Pulp (1995)
1995年リリース。歌詞は「金持ちの彼女が、“普通の人々と暮らしたい”と言ったら…?」という社会的視点も含んでおり、英国らしい日常/階級意識を描いています。ブリットポップのアンセムとも言われる一曲です。
- Live Forever – Oasis (1994)
1994年8月にリリースされたシングル。Oasisにとっての出世作であり、グランジ的暗さとは別の“希望”や“歌えるギター・ロック”として英国で人気を博しました。
- End of a Century – Blur (1994)
1994年11月リリース。アルバム『Parklife』からのシングルで、英国の日常、20世紀末の閉塞感とともに“英国らしさ”を切り取っています。サウンド的にもブリットポップらしさがうかがいやすい楽曲です。
この3曲をヘッドホンで聞いてみると、ギター+歌+英国的な歌詞+“ちょっと皮肉めいた”雰囲気、というブリットポップ特有のムードが体感できるはずです。
4.関連・近接ジャンル
ブリットポップは他のジャンルと完全に切り離されているわけではなく、影響を受けた/与えたジャンルが多々あります。ここでは主要なものを整理します。
- ポスト・ブリットポップ(Post‑Britpop)
ブリットポップの黄金期後、それを受け継ぎつつ少し音が洗練されたり、よりグローバル視点になったバンド群。例えば Coldplay などがこの流れに位置付けられます。 - オルタナティヴ・ロック/インディ・ロック
ブリットポップ自体が1990年代前半のインディ・ギター・シーンから生まれたため、その系譜とも言えます。構成や精神にゆるやかな近接があります。 - グラム・ロック/モッド・リバイバル/60sギターポップ
遡ると、60年代の英国ギターポップ(The Beatles, The Kinks 等)や70年代のグラム・ロック(T. Rex など)からの影響も明確です。 - ダンス/マッドチェスター・シーン(Baggy)
ブリットポップが台頭する前のマンチェスターの「マッドチェスター」シーンや “Baggy” といったダンス/ロック混合のムーブメントもひとつの土台になっています。
言い換えれば、ブリットポップを知ることで、90年代前半の英国インディ・シーンから60年代ギターポップの黄金期、さらにその後のポスト・ロックやインディに至る流れにもつながっていくのです。
5.まとめ:英国のギターポップ祭りを体験しよう
ここまで、ブリットポップの「名前の由来・歴史」「音の/構成の特徴」「代表曲」「関連ジャンル」をざっと見てきました。最後にポイントを改めてまとめてみます。
- 「ブリットポップ」という言葉は「英国らしいポップ/ギターロック」を表す造語で、1990年代中盤に英国で文化的ムーブメントとして盛り上がりました。
- サウンド的には「ギター+キャッチーなメロディ+英国らしい歌詞+少し反骨/皮肉」の要素があり、歌って楽しいけれども“ただポップ”ではない質感があります。
- 代表曲として「Common People」「Live Forever」「End of a Century」などを聴けば、その空気感がつかみやすいです。
- 関連ジャンルとして、ポスト・ブリットポップ、インディ/オルタナティヴ・ロック、60年代ギターポップなどが存在し、音楽の“流れ”として学ぶ価値があります。
ちょっと試してみるなら、イヤホンで前述の代表曲のどれかを流して、“あ、これギターリフがポップだけどガツンとくるな”“歌詞がイギリスっぽいんだな”と感じてみてください。たとえば「月曜日の朝、街を自転車で走る風景」や「仲間とビール瓶片手に歌う合唱風景」なんてイメージを持つと、さらに気分が出るかもしれません。
音楽をただ“聴く”だけでなく、そのムーブメント・文化背景・時代背景も合わせて楽しめると、世界が少し広がります。ブリットポップはそんな“時代の風”も含んだジャンル。英国ギター・ポップの祭り、どうぞその音の渦に飛び込んでみてください。
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