グランジとは|音楽ジャンル解説シリーズ
公開日:2025.11.07 更新日:2025.10.21バンド楽器音楽のマナビ
目次
グランジという音楽ジャンルについて解説します
「あのバンド、もしかしてグランジ?」「グランジ=90年代のギターロックでしょ?」――そんな何となくの知識をお持ちの方に向けて、今回はしっかり「グランジ(Grunge)」を解説します。由来からサウンドの特徴、代表曲、関連ジャンルまで、音楽に詳しくない方でもわかるように、やさしくご紹介します。
1.名前の由来と歴史
まず、「グランジ」という言葉――どこから来たのでしょう?この語は英語 “grunge” / “grungy” に由来し、もともとは「汚れている」「ぼろぼろだ」「くたびれた」という意味の俗語でした。
具体的には、1981年にシアトル近郊のバンド Green River のヴォーカル Mark Arm が、地元 zine(ファンジン)「Desperate Times」宛てに「Pure grunge! Pure noise! Pure shit!(まさにグランジ!まさにノイズ!まさにクソ!)」と書いたのが最初期の用例とされています。
この言葉が、後に音楽雑誌やレコード会社、特に独立レーベル Sub Pop(シアトル)あたりがこの“泥くさくて重いギター+パンク/メタル混ざり”なサウンドを「グランジ」として紹介・流通させていきます。
歴史的に見て、グランジはアメリカ・ワシントン州、特にシアトル(Seattle)とその近郊で1980年代後半に始まり、1990年代初頭に世界的なムーブメントとなりました。
例えば、1991年に Nirvana がリリースしたアルバム『Nevermind』が“グランジを一気にメジャー化させた”象徴とも言われます。
こうして、派手なヘアメタル(“80年代ロックのきらびやか仕様”)への反発も含め、「くたびれたフランネルシャツ+ジーンズ+アンプ歪ませて」がスタイルとしても浮かび上がることになります。
2.サウンドや構成の特徴
では、実際に「グランジっぽい音」「それってグランジ?」と思えるポイントを、初心者向けにわかりやすく整理します。
- ギターの歪み/重さ+パンク/メタルの融合
グランジは、パンク・ロックのずたぼろ感、ハード・ロック/メタルのギター歪み、インディロックのDIY精神などがごちゃまぜになったサウンドです。「ギターがけっこうガチャガチャしてるけど、ただのメタルじゃない」――そんな感じが特徴です。 - 静から動へのダイナミクス
多くのグランジ曲には「静かなヴァース→爆発するコーラス」といった「ラウド‑クワイエット」構造が見られます。つまり、控えめな部分があって、それが一気に転換して爆発音になる(あるいはその逆)という設計。例えば Smells Like Teen Spirit の冒頭リフも、その構造を備えています。 - 歌詞の世界=疎外・怒り・内省
グランジの歌詞は、社会的疎外、自分自身への疑問、失望、孤独、ドラッグなど…明るくはないテーマが多いです。80年代のパーティー系ロックとは一線を画します。 - 見た目(サウンド以外)すら“粗さ”を装う
サウンドだけでなく、ヴィジュアル面でも“きらびやかではない”“これでいいんだ”というスタンスがあります。フランネルチェックのシャツ、ダメージジーンズ、無造作ヘア…これもムーブメントの重要な一面です。
つまり、「音も服装も作り込まれていない“適当に作られた”“くたびれた”感じこそがこのジャンルの味」というわけです。これが、グランジが“反・80年代ロック”として受け入れられた理由のひとつでもあります。
3.代表的な楽曲3つ
では、「これを聴けばグランジがなんとなくわかる!」という曲を3つピックアップします。
- Smells Like Teen Spirit – Nirvana (1991)
この曲は、1991年9月10日にシングルとしてリリースされ、その同年アルバム『Nevermind』からのシングルとして世界的ヒットしました。音楽的には「静→爆発」「ギターのざらつき」「歌詞の苛立ちと内省」が特徴で、グランジの代表アンセムとされます。
- Alive – Pearl Jam (1991)
同じく1991年、アルバム『Ten』に収録されたこの曲は、グランジ/オルタナティヴ・ロックの代表格です。歌詞では「自分の存在」を問いかけるようなテーマがあり、壮大でありながらも“泥くさい”音の質感が際立っています。
- Man in the Box – Alice in Chains (1990)
少し重めの雰囲気を持つこの曲は、1990年にリリースされ、グランジ的サウンドを醸し出しています。暗めで重厚、ギターの歪みとヴォーカルのコントラストが印象的です。定義から言えば「これもグランジだ」とよく挙げられます。
これら3曲を聴いてみると、「ギターがすごく歪んでる」「歌詞ちょっと暗い」「映像もなんか古着っぽい」という“グランジ感”を直感として掴めるはずです。
4.関連・近接ジャンル
グランジは単独で存在していたわけではありません。他のジャンルと影響し合いながら成長・変化しました。いくつか押さえておきましょう。
- ポスト・グランジ(Post‑grunge)
グランジの商業的成功後、よりクリーンな音/ポップ寄りの構成を持ったバンド群が登場しました。これを「ポスト・グランジ」と呼び、例えば Foo Fighters などもこの流れを汲むと言われます。 - オルタナティヴ・ロック(Alternative Rock)
グランジ自体がこのオルタナティヴ・ロックという枠組みの中で生まれたとも言えます。パンク/メタル以外の“もうひとつのロック”として、有力な位置を占めました。 - ハード・ロック/メタルとの接点
グランジはパンク+メタルの融合とされることが多く、そのためハードなギター/音圧などにメタル的要素が随所にあります。たとえば Soundgarden や Alice in Chains にその傾向が強く見られます。 - ガレージ・ロック/インディ・ロックの影響
グランジのルーツには、70~80年代のインディ・シーンやガレージ・ロックの“粗くて自分たちで作る”という精神があり、これらと無縁ではありません。
つまり、グランジを理解すること=90年代ロック、アメリカのシアトル・インディ・シーン、パンク&メタルの隙間を埋める「間の音楽」を理解すること、にもつながるわけです。
5.まとめ:くたびれたシャツで、音を叩きつけろ
というわけで、グランジについてざっとですがお話ししました。まとめると、
- 名前の由来は「汚れてる感じ/ぼろぼろな感じ(grungy)」という俗語からで、シアトル周辺のバンドが“それっぽさ”を持っていたこともあって生まれた言葉です。
- 1980年代後半にワシントン州・シアトルで誕生し、1990年代初頭に世界的なムーブメントになりました。
- サウンドの特徴として「歪んだギター」「静→爆発構造」「内省的・怒りめいた歌詞」「作られていない感じのヴィジュアル」があります。
- 代表曲として「Smells Like Teen Spirit」「Alive」「Man in the Box」などを押さえておけば、聴いて『あ、これグランジだ!』と思いやすい。
- そして、関連ジャンルとしてポスト・グランジ、オルタナティヴ・ロック、メタルとの接点、インディ・ロック/ガレージ・ロックの影響などがあることを理解しておくと、ジャンル横断的に楽しめます。
少しだけ試してみるなら、「まずはヘッドフォンで静かに“Smells Like Teen Spirit”を聴き、静かなパート→爆発するパートに震えてみてください」。そのとき、画面を見ずに“くたびれたシャツを着たギタリスト”を想像してみるのも楽しいかもしれません。
80年代のキラキラロックに飽きていた子たちが、「このままじゃダメだ」「俺たちの音でやろうぜ」と始めたくたびれたシャツ文化――それがグランジの魂です。あなたも、どこかのギターアンプの前で、少しくたびれたシャツを着て、ジャラジャラ歪んだコードを鳴らしてみてはいかがでしょうか?
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