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名曲のベースラインに隠されたテクニックを解説!

公開日:2025.10.27 更新日:2025.10.08バンド楽器上達のコツ音楽のマナビ

名曲のベースラインに隠されたテクニックを解説!

ベース上達のコツを名曲から学ぼう


「なぜこの曲はこんなに気持ちいいんだろう?」――その答えの半分くらいは、じつはベースラインにあります。ベースは派手さこそ控えめですが、リズム(時間の流れ)とハーモニー(和音の意味)の両方を同時に支える“二刀流”。名曲と呼ばれる多くの楽曲では、聴き手が無意識に心地よさを覚えるよう、ベースに細やかな仕掛けが潜んでいます。

本記事では、その“仕掛け”を名曲に触れつつ、音楽に詳しくない方にもわかるように解説します。耳のピントを「低音」に合わせて、名曲の裏側をのぞいてみましょう。


1. まずは土台:ベースの基本役割

ベースの役割は大きく二つ。
① ドラムと組んでグルーヴ(ノリ)をつくる。
② コードのルート音を示して、曲の“和音の意味”を聴き手に伝える。

例えば | C | Am | F | G | の進行では、1拍目に C→A→F→G を置くだけで、音楽の床がしっかり張られます。名曲のベースは、この床の上にコードトーン(構成音)経過音(パッシング)リズムの工夫を重ね、地味に、しかし決定的に“気持ちよさ”を増やしているのです。


2. コードトーンで動きを生む

名曲の多くは、ルートだけでなく3度・5度(時に7度)を要所で鳴らし、和音の表情をはっきりさせます。たとえばThe Beatles「Something」(1969)のベースは、ルートに3度・5度を滑らかに織り交ぜ、“歌うような対旋律”をつくります。結果、ボーカルのメロディーとベースが絡み合い、和声の立体感が増す――これが「シンプルなのに美しい」正体のひとつです。


3. パッシングノートで「流れ」をつくる

コードトーン同士を半音・全音でつなぐ経過音(パッシング)は、ベースラインを“点”から“線”へ変えます。直線道路にゆるいカーブを加えるように、耳あたりが自然になります。

モータウン黄金期のジェイムズ・ジェマーソン(例:「What’s Going On」)は、コードトーンを柱にしつつ、ところどころに経過音やクロマチック(半音階)を差し込むことで、温かい一体感と前進力を同時に生み出しました。「ずっと聴いていられる低音」は、たいてい“上手に迷子になる”経過音が入っています。


4. 反復と最小限の動きで「中毒性」を生む――Michael Jackson「Billie Jean」

ベースの有名曲と言えば外せない「Billie Jean」(1982)
ここで強調したいのは、「半音の装飾を連発しているから」ではなく、F#マイナーを土台にした極めて少ない音数の反復と、要所のオクターブ移動がトランス状態の推進力を作っている点です。

演奏はLouis Johnson。場面によりシンセベースとのユニゾン/レイヤーも絡み、低音が“一本の線”のように前へ前へと進んでいきます。

ベースが「弾きすぎない」勇気を持つと、曲そのものが迫力を増す――この曲は、ミニマルと反復の教科書です。


5. シンコペーションで「うねり」を与える――Stevie Wonder ほか

シンコペーション(拍の“裏側”に重心を置く)は、ベースの魔法のスパイス。
Stevie Wonder「I Wish」「Sir Duke」では、ベースが8分裏・16分裏を巧みに踏み、体が勝手に揺れるうねりを生みます。
ポイントは“常に裏に置く”のではなく、表と裏のコントラストで加速感を作ること。

日本のポップスでもこの考え方は有効です。
たとえばOfficial髭男dism「Pretender」は、曲全体がシンコペーション気味の設計。ベースはセクションによって裏を積極的に踏む場面と、あえて表にどっしり残る場面を使い分け、全体のうねりをコントロールします。
「宿命」ではシンセ低音とエレキの住み分け、時に5弦低域の活用がポイント。低音処理とシンコペの配分が、曲の“重量感”を決めます。


6. 「音域」と「オクターブ」で景色を変える――The Beatles「Come Together」

「Come Together」(1969)の有名リフは、音数こそ多くありませんが、オクターブ上下音域選択で“暗く渋い”景色を作ります。ベースが一瞬だけ低域を離れ、中低域へ顔を出すと、アンサンブルの重心がふっと浮く。戻ると再び地面に着地する――この重心移動が、リフに独特の妖しさを生みます。

実践では「Aメロは低域を固め、サビは一段上のポジションでオクターブを混ぜる」など、セクションごとに音域を設計すると“起伏”が生まれます。


7. ゴーストノート/ミュートで「質感」を整える

名曲の低音は、ただ正しい音程を並べているだけではありません。ゴーストノート(音程のない軽い打音)や左手ミュートで、アタックの硬さや空気感を微調整しています。

ファンクやR&B系では、ゴーストを“つなぎ目のグルー”として使い、音符と音符の隙間にリズムの粘りを注入します。やりすぎるとモゴモゴしますが、少量なら“プロっぽい”密度が出ます。


8. 名曲が使う「設計図」を自分の演奏に移植する方法

① ルート+コードトーンの基礎固め
各コードでルート・5度・3度を即座に出せるように。まずは4小節進行(例:| C | Am | F | G |)で、1拍目ルート固定+小節内に5度・3度を入れる練習から。

② 経過音の「出入り口」を限定
ルート→次のルートに移動する直前の8分音符だけ、半音・全音でアプローチするなど、使う場所を決めると破綻しにくい。

③ リズムのコントラストを設計
Aメロは表拍中心で安定、Bメロで裏拍を増やし、サビで表に帰還。この往復を決めておくと、曲の“呼吸”が生まれます。

④ 音域とオクターブの地図を描く
「低域で固める区間」「中域へ上げて開く区間」をセクションごとにメモ。Come Together 的な重心移動を自曲にも。

⑤ 音の長さ(サステイン)を設計
すべてを伸ばし切らず、要所で短く切るとドラムのキレと噛み合い、輪郭が際立ちます。逆にバラードは長く保つ勇気を。


9. まとめ――“低音の設計士”になろう

名曲のベースラインは、コードトーンで意味を描き、経過音で流れをつなぎ、シンコペでうねりを与え、音域と音価で景色を変える――そんな地味で壮大な設計図の産物です。

「Billie Jean」は最小限の反復とオクターブの勝利。「Something」はコードトーンを歌わせる職人技。「I Wish/Sir Duke」は表裏のコントラストで踊らせ、「Come Together」は音域と重心で空気を染める。

次に音楽を聴くときは、ぜひベースに耳を向けてみてください。これまで“背景”にいた低音が、急に物語の語り部として姿を現すはずです。そしてあなたが弾くときは――ルートを柱に、少しの経過音、少しの裏拍、少しの設計。小さな工夫の積み重ねが、名曲級の“気持ちよさ”へ案内してくれます。


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こちらの記事もぜひ!▶ベースラインの作り方:ジャンル別の考え方を紹介

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