アーミング~エレキギターの必殺技~
公開日:2025.10.13 更新日:2025.10.01バンド楽器音楽のマナビ
目次
アーミングを使いこなしてヒーローになろう
ロックスターが弾くエレキギターの、「ギュイーン」と音が揺れる、あの派手な効果に憧れたことはありませんか?
それこそが「アーミング」と呼ばれる技。ギターに付いている謎の棒――「トレモロアーム」を握って音を操る演奏法です。
見た目も派手で、まるでギターに魔法をかけているような効果が得られることから、「エレキギターの必殺技」であるといっても過言ではありません。
今回はこのアーミングについて、仕組みや種類、メリットデメリットまで、分かりやすく解説していきましょう。
トレモロアームとは?

トレモロアームは、ブリッジに取り付けられた金属製の棒で、演奏中にこれを押したり引いたりすることで、弦の張力を変化させます。
その結果、音の高さ(ピッチ)が揺れ、独特のうねりや急降下するようなサウンドが生まれるのです。
ロックの派手なソロ、ヘヴィメタルの泣きのフレーズ、あるいはサーフミュージックの揺れるコードサウンド。どのジャンルでも、アームは印象的な効果を生み出す武器となります。
トレモロとビブラートの違い
ここで一つややこしい話を。実は「トレモロアーム」という名前、厳密には間違っています。
音楽理論的に「トレモロ」とは音量の揺れを意味し、「ビブラート」が音程の揺れを意味します。
ところがギター界では昔から「トレモロアーム」と呼ばれてしまい、そのまま定着してしまったのです。
正しく言えば「ビブラートアーム」。でも、今さら全員で呼び直すのも大変なので、今日も世界中のギタリストは「トレモロアーム」と呼び続けています。
ある意味、音楽界の「言葉の誤用あるある」ですね。
トレモロアームの種類
トレモロアームにはいくつかの代表的な方式があります。それぞれの特徴を見てみましょう。
シンクロナイズドトレモロ(ストラトキャスター型)

フェンダー・ストラトキャスターに搭載される伝統的なタイプ。スプリング(バネ)で支えられ、押すことで音を下げ、引くことで音を上げられます。 音の揺れが自然で、サーフミュージックやブルースからロックまで幅広く使われます。ジミ・ヘンドリックスやジェフ・ベックといったレジェンドも愛用しました。
スプリングは、ギターの本体であるボディに穴をあけて取り付けられているので、増設するのはかなり難しい部類です。
フロイドローズ

1980年代に爆発的に普及したシステム。弦をしっかりロックし、極端なアーミングをしてもチューニングが狂いにくいのが最大の特徴です。
エディ・ヴァン・ヘイレンやスティーブ・ヴァイなど、超絶ギタリストたちの武器となりました。 デメリットは構造が複雑で、弦交換や調整がやや面倒なことです。
ビグスビー

セミアコやフルアコによく見られる、レトロなトレモロユニット。緩やかな揺れが特徴で、ジャズやカントリー、ロカビリーで重宝されます。
派手さはありませんが、独特の「ゆらぎ感」がたまらないというファンも多いです。
フローティングトレモロ、ダイナミックトレモロ

ややマニアックな存在ですが、「フローティングトレモロ」と呼ばれる方式もあります。ジャズマスターなどに搭載されている方式ですね。
これは軽い力でアーミングを行うことに成功したユニットなのですが、チューニングが狂いやすいというデメリットも持っています。
フローティングトレモロの発展形として、ダイナミックトレモロというのも存在します。こちらはムスタングへの搭載が有名です。
ただ、これもやはりチューニングの狂いは避けられませんでした。
後付けでトレモロを導入する方法
「手持ちのギターにアームがない!」という人も安心してください。後付けの方法はいくつかあります。
- ビグスビーを後付け:セミアコやレスポール系に人気。ただし重量増とルックスの変化あり。
- トレモロスプリング付きブリッジに交換:ストラトタイプなら、穴あけ不要で比較的容易に交換可能。
- アーム付きのブリッジを増設:場合によってはギターに穴を開ける加工が必要なので要注意。
ギターに加工を加える必要があるケースもあるため、専門のリペアショップに相談するのが安全です。 DIY精神でやってみるのも楽しいですが、最悪の場合はギターのボディに致命的な傷を残すことも…。くれぐれも慎重に!
アーミングのメリットとデメリット
メリット
- 音に独特の揺れや表情を加えられる
- 派手な演出が可能で、ライブ映えする
- チョーキングでは不可能な大きな音程変化が可能
デメリット
- チューニングが狂いやすい(特にシンプルな構造のアーム)
- 弦やブリッジに負担がかかる
- 構造が複雑なものはメンテナンスが難しい
つまり、アームは「使いこなせば最強、扱いを間違えると暴れ馬」。 うまく使えば観客の心をわしづかみにできますが、頼りすぎるとチューニング崩壊でステージが阿鼻叫喚になることも。 ここぞという場面で決め技として使うのが、ギタリストの知恵というわけです。
まとめ:アームはギタリストの必殺技
アーミングは、ギタリストにとってまさに「必殺技」。 トレモロアームの種類や仕組みを理解することで、その効果を最大限に活かせます。
ただし使いすぎには注意。チューニングが狂えば、必殺技どころか「自爆技」になりかねません。 遊び心を忘れずに、ここぞというタイミングでアームを振るうことこそ、ギタリストの醍醐味です。
あなたのギターライフに、「ギュイーン」という必殺技を取り入れてみませんか? きっと演奏がもっと楽しく、もっとドラマチックになるはずです。
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