情熱と衝撃の融合:プロコフィエフのピアノソナタ第7番を深掘り
2024.09.03音楽のマナビ
セルゲイ・プロコフィエフの「ピアノソナタ第7番」という曲をご存知でしょうか?
「ピアノソナタ第7番」は1939年から1942年にかけて作曲され、彼の戦争ソナタ(第6,7,8番)の3曲の一つと言われています。
この曲は、彼のピアノ作品の中でも特に評価が高く、20世紀のピアノ音楽の傑作の一つとされています。彼の作品の中でも特に力強く、感情的な表現が際立っているピアノ作品となっています。
本ブログでは、作品が作られた当時の時代背景や特徴を解説いたします。
【時代背景】
プロコフィエフの第7番ソナタは、第二次世界大戦中の1942年に完成されました。この時代背景は、音楽にも深く反映されており、作品全体には戦時中の緊張感や抑圧されたエネルギーが満ち溢れています。
【特徴】
・技巧的な難易度の高さ
このソナタは、プロコフィエフの「戦争ソナタ」と呼ばれています。彼の作曲したピアノソナタ9曲の中でも特にダイナミックであり、技巧的にも難易度が高いことで知られています。強烈なリズムと鋭いメロディが特徴で、演奏者には高度な技術と深い音楽的理解が求められます。甘味すぎず、かといって淡泊ではいけない、絶妙な抒情性の塩梅がキーになるでしょう。
・激動のソナタ~その内容に迫る~
第1楽章は、その激しい開始(ユニゾンで奏でられる幅広い音域を横断するモチーフ&それと対照的な同音連打によるミリタリックなモチーフの2つが提示)からして聴き手を強く引き込みます。
調性は無調に近いですが、B音を中心とし、ほぼ伝統的なソナタ形式を保っているので、わかりにくい楽曲ではありません。(当時のソ連でわかりにくい曲を作曲することは、社会に貢献してないとみなされて命を落とす可能性がありました・・・)
第2楽章では、シューマンのリーダークライスの「悲しみ」に由来する主題(ロシアにおける芸術音楽の黎明期はシューマンの影響大)やラフマニノフ風の鐘の模倣など、誠にロシア音楽の伝統を感じさせる緩徐楽章といえます。
第3楽章では、3分強の長さしかない短いフィナーレです。
プロコフィエフの特徴であるリズミカルで躍動感あふれる音楽がとめどなく重戦車のように奏でられ、聴く者を戦争の情景へと誘います。
この楽章はフランツ=リストの作品ような演奏効果があるため、しばしば単独でアンコールピースとしても演奏されます。
・戦時の内省の表現
しかし、このソナタが持つ真の魅力は、単に技巧的な部分にあるのではありません。戦時の激動を経験した作曲家として、対外的には祖国を鼓舞する姿勢の表出と、それを強いられることへの落胆がこの作品の根底に流れています。
・結び
この作品を通じて、プロコフィエフがどのようにして戦時の複雑な感情(当時の共産党政権への嫌悪を上回る祖国愛?)を音楽に昇華させたのかを感じ取ることができるでしょう。
この作品を聴ける演奏会がありましたら、ぜひ足を運びプロコフィエフの音楽世界の奥深さを探求してみてください。プロコフィエフは近現代特有の複雑なハーモニーが刺激的ですが、リズムはシンプルなのでクラシック初心者でも楽しめるかと思います。きっと、新たな発見があるはずです。
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