「泣ける」音楽、その正体を分析!
2021.01.12音楽のマナビ
皆さんは、音楽を聴いて泣くことはありますか?
私はよくあります。
なぜ泣くか?
その理由は、素晴らしい音楽によって心が洗われるからです!
心に響く音楽は、人生を変える、魔法のような力があります。
悩んでいた時、落ち込んだ時、音楽が人生の道しるべになります。
あのとき、私は音楽によって力をもらった!
今度は、私の音楽で、誰かに力を与えたい!
そう思った方!
今回は、そんな「泣ける」音楽の正体について、お話していきます。
「泣ける」音楽の構造とは
いくら演奏が素晴らしくても、楽曲が感情を揺さぶる構造をもたなければ、感動しません。
つまり!
強引に感情を揺さぶる構造をもつ楽曲こそ、感動を呼ぶといえるのです。
どのような構造をした曲が感動しやすいかを見ていきましょう。
泣ける音楽の構造について、結論から言うと、
①一定以上の長さをもつこと
②音楽的な緊張が、低から高へ推移する構造をもつこと
この2つの両立がカギです。
あなたが感動した曲は、これにあてはまるでしょうか?
いくらか例外はあると思いますが、おおむねこの2つの条件を満たす音楽ではないかと思われます。
ここで、「音楽はハートだ。計算じゃない!」と反論する人がいるかもしれません。
では、あなたが好きな音楽は、理論は用いずにハートのみで作曲できると思いますか?
よく、「天からインスピレーションが降ってきた」とのコメントを残すアーティストはいます。
彼らの実態としては、「既存の音楽理論をベースにした、自分にとって好ましい組み合わせ」を、たまたま選べただけに過ぎないのです!
次は、感動する演奏、泣ける演奏について詳しく考察していきたいと思います。
「泣ける」演奏の正体
泣ける演奏とは、以下の3つに分類されると思います。
①強固なビート感による切迫と、それにともなう熱狂
②現代において、感傷的であると認識されている表現を、最大限に誇張する
③共同幻想による感動
では、1つずつ説明していきます。
①強固なビート感による切迫。それに伴う熱狂
ひとことでいえば、ロックのような音楽です。
人は、一定の拍節が繰り返され、かつ緊張感が増すだけで、感動します。
これに音圧を加えることで、聴覚を麻痺させることができます。
一種のトランス状態に導くことで、感動したと認識させるのです。
一部のバンドマンは、大音量によって自身の技量の無さを隠すことに成功しているのです。
②感傷的であると認識されている表現を、最大限に誇張する
聴く人が理解できる範囲の刺激的なハーモニーに、感情を込めることで、「エモい」と認識されます。
歌詞がある場合は、ハーモニー、歌詞、旋律の音型など、さまざまなバランスを最適化することで、感動要素の「掛け算」に成功します。
「エモい」表現は、半強制的に、聴いた人の感情を揺さぶることができるのです。
③共同幻想による感動
多くの人と感動を共有している認識=ある種の共同幻想によって、感動が増すことがあります。
あるアーティストを崇拝することで、イデオロギーに近い連帯感を生み出しているのです。
何万人も収容するスタジアムのライブにいく人の多くが、こうした共同幻想による感動を求めているのかと思われます。
まとめ
いかがでしたか。
すごい感動体験は、実は計算された音響のもと、踊らされているだけなのかもしれません。
逆に、これさえ理解すれば、「感動的な演奏をする」ことは、楽勝のはずです!
日々、音楽の研究に励みましょう。