バイオリンを始めてからバイオリニストになるまでの歩み
2020.08.30音楽のマナビ
バイオリニストとは、弦楽器の花形であるバイオリンを自在に操るプロフェッショナルです。
彼らは一体、どのようにしてバイオリニストになるのでしょうか…。
今回は、バイオリニストが0歳から30歳になるまでの、おおよその流れをお話します。
(30歳以後はあまり変化がないので、今回は省略します。)
0歳
誕生した瞬間、手にバイオリンは持っていません。
1歳
早期教育を行う家庭もありますが、バイオリンを弾かせることはまだありません。
2歳
のちにバイオリニストになる者のごく少数が、バイオリンを始めます。
もちろん本人の意思ではありません。
幼児期から楽器を始めることで、将来の演奏技術にどのような影響を及ぼすのかは分かりません…。
3歳
のちにバイオリニストになる者の少数が、バイオリンを始めます。
4歳
のちにバイオリニストになる者の3分の1以上が、バイオリンを始めます。
5歳
のちにバイオリニストになる者の多くが、バイオリンを始めます。
6歳
のちにバイオリニストになる者の多くが、バイオリンを始めます。
7歳
7歳以降にバイオリンを始めてプロになる者は少数派です。
8歳
一部の子供は、一日何時間もの練習を強いられます。
9歳
親子二人三脚でコンクールに挑む者が出てきます。
ただ、この時期の競争は、一部の天才を除いて不毛である可能性が高いです。
行き過ぎた英才教育の代償は、音楽学校入学後に支払うことになります…。
10歳
中学受験に集中するためバイオリンを辞める者が増えます。
11歳
バイオリンでプロになるのが厳しいため、チェロに転向する者が現れます。
12歳
優秀な奏者は、メンデルスゾーンの協奏曲を弾けるようになります。
13歳
中学で吹奏楽部に入った一部の者が、管楽器に転向します。
14歳
親による強制でバイオリンを習ってきた男子の一部が、バイオリン(または音楽)の楽しさを知るようになります。
15歳
一般的に、最も演奏技術が進歩する時期に差し掛かります。
16歳
音楽高校に入るプロ志望者が現れます。
基本的に後戻りできない道に入る訳ですが、最近は大学卒業後に一般就職する者が増えてきています。
17歳
音楽高校に入った者の一部は、厳格な音楽教育に対する反動から放蕩の道に進みます。
18歳
音楽高校に進まなかった者は、音大受験という高いハードルを越えなければいけません。
一般的に、パガニーニの24の奇想曲は難なく演奏できるレベルにあります。
バイオリン専攻で合格することが厳しい場合、ビオラに転向する者も現れます。
19歳
少しずつ演奏のアルバイトをするようになります。
20歳
ソロだけではなく、弦楽四重奏などの室内楽に、本格的に取り組むようになります。
また、プロ志望者の多くがコンクールやオーディションに挑戦するようになります。
21歳
一部の音大生は、プロで生計を立てるのをあきらめて就職活動を始めます。
22歳
ポップスが好きな演奏家の一部が、お堅いクラシックから華やかなポップスの世界に転向します。
テレビの歌番組で、歌手の後ろで演奏している音楽家がこれに当たります。
もっとも、高い謝礼の仕事は、ジャンル問わず優秀な演奏家に回ってきます。
ちなみに、男性の喫煙率は高いです。
23歳
大学卒業後しばらくは、仕事が無いのが一般的です。
この時期に留学する演奏家は多くいます。
24歳
大学院に進学した者が、修士号を取ります。
(バイオリン専攻の場合、大学の教員になる以外の使用用途はほぼありません)
この頃、音楽教室で指導の仕事に従事する者も増えます。
25歳
女性の一部は結婚しはじめます。
結婚相手は大きく分けて、サラリーマンか同業者であることが多いです。
26歳
ソリストの多くが、収入の安定したオーケストラ奏者を目指すようになります。
音楽家の多くが、夢を追いかけるのを辞めます。
27歳
留学していた者の多くが、日本に帰ってきます。
死ぬまで海外にいると宣言した者も、ほとんど戻ってきます。
28歳
多くの演奏家は、演奏技術のピークを迎えます。
数少ないオーケストラ奏者のイスをめぐる戦いは、佳境に入ります。
29歳
演奏で生計を立てるのが厳しい音楽家は、指導に力を入れ始めます。
また、謝礼の相場が高い指揮の仕事を始める者が出てきます。
30歳
バイオリニストとして完成します。
彼らは一生現役でいることが一般的です。
以上が、バオリニストが0歳から30歳になるまでの歩みです。
華やかなバイオリニストたちの歩みは、決して順風満帆なものではないことがお分かりいただけたかと思います。
「それでも、バイオリニストになりたい!」という熱い気持ちを持った者が台頭してくることを楽しみにしております。