シューマンの傑作ピアノ曲を紹介
2020.08.25音楽のマナビ
前回は、作曲家シューマンのエキセントリックな一面を紹介しました。
ロマン主義を具現化したような作曲家ですが、彼に作りだす音楽は天才的でした。
今回は、シューマン作品の中でも傑作のピアノ曲を紹介したいと思います。
「蝶々 作品2」
シューマンがピアニストとして活躍していた頃に書かれた作品です。
ジャン・パウルの長編小説『生意気盛り』(未完)における「仮面舞踏会」の情景を読んだ際に着想したとされています。
シューマンの作品の中では技巧的に平易でメルヘンチックで親しみやすいです。
(ちょっと女々しい音楽であるとは感じますが・・・)
「幻想小曲集 作品12」
8曲の小品からなる、本質的に夜の音楽で、暗い情熱を感じる傑作。
そのなかでも、「飛翔」「夢のもつれ」は単独でも人気のある作品です。
これ以後の作品こそ、シューマンの天才性が真の意味で開花したといえるでしょう。
「幻想曲 ハ長調 作品17」
30分・3楽章からなる大曲。実質的にはピアノソナタといえます。
作曲当時、のちの妻にクララとの結婚を、クララの父親によって妨害されていました。
そのときのクララへの率直な愛情を、芸術としての最高水準まで昇華した音楽で表現しました。
シューマンの最高傑作の1つです。
「クライスレリアーナ 作品16」
ジャン・パウルの小説にでてくる主人公である楽長「クライスラー」を自分になぞらえた私小説のような音楽です。
8曲の小品からなる組曲として構成されています。
変な曲が多く、正気じゃ書けないと思う瞬間が多くみられます。
「フモレスケ 作品20」
「フモレスケ」はドイツ語における「ユーモア」の意ですが、現代日本における「ユーモア」とは異なる意味を持ちます。
シューマンによれば、喜び、悲しみ、笑い、涙など、様々な感情が交差したような状態を指すようです。
また、構造的に崩壊していると評されることもあります。
大変自由な形式で書かれており、起承転結が不明瞭であるためでしょうか。
非常に気まぐれな展開と、夢見がちな楽想が魅力的です。
まとめ
シューマンは癖が強く、人を選ぶ作曲家かもしれません。
しかし、直接胸に訴えかけるような和声・リズムの魅力は何物にも代えがたいと感じます。
ぜひ、レッスンや発表会においてシューマンの作品を取り上げてみてはいかがでしょうか。