TAB譜と原曲が違うのはなぜ?ギター初心者が迷ったときの考え方
公開日:2026.09.13 更新日:2026.09.09バンド楽器上達のコツ音楽のマナビ
お気に入りの曲のTAB譜を手に入れて練習を始めたものの、「CDで聴く音と何かが違う」「YouTubeの本人映像と押さえている場所が違う」と戸惑う初心者は非常に多いです。実は、TAB譜の数字が原曲の実際の演奏と異なることは決して珍しいことではありません。
TAB譜と原曲が違って聞こえることは珍しくない
ギターの練習を進める中で、次のような疑問にぶつかることがあります。
- TAB譜どおりに弾いているのに、原曲のニュアンスと違って聞こえる
- 別の出版社のTAB譜や無料サイトを見ると、押さえるフレットが全く違う
- アーティスト本人のライブ映像を見ると、楽譜とは違う場所を押さえている
このような状況に陥ったとき、「このTAB譜は間違っている不良品だ」とすぐに判断してしまうのは早計です。ギターという楽器の構造や、楽譜が制作される背景には様々な要因が絡んでおり、完全な「間違い」ではないケースがほとんどです。
同じ音でもギターでは違う場所で弾ける
ギター最大の特徴であり、初心者を混乱させる原因が「同じ高さの音を複数の場所で鳴らせる」という楽器の構造です。ピアノであれば「真ん中のド」の鍵盤は1つしかありませんが、ギターの場合は異なります。
例えば、ギターで最も高い「ミ」の音(レギュラーチューニング時)を鳴らしたい場合、以下の場所で弾くことができます。
- 1弦の開放弦(0フレット)
- 2弦の5フレット
- 3弦の9フレット
- 4弦の14フレット
これらはすべて音程としては同じ「ミ」ですが、弦の太さや張力が異なるため、細い1弦ならキラキラとした鋭い音、太い3弦や4弦なら丸く温かみのある音になります。前後のフレーズの弾きやすさ(運指の都合)や、ギタリストが出したい音色によって押さえる場所が変わるため、同じ曲を耳コピしても、採譜者によってTAB譜の数字が異なる現象が起きるのです。
TAB譜が原曲と違う主な理由
市販の楽譜やインターネット上のTAB譜が、実際の原曲と異なっている理由は主に以下の4つに分類されます。
初心者向けに簡単にアレンジされている
原曲で使われている複雑なコード展開や、指を大きく広げる難しいフレーズを、初心者が挫折しないように意図的に簡単なオープンコードや省略フォームに変更しているケースです。特に「初心者向け弾き語りスコア」などでは頻繁に行われます。
採譜した人によって解釈が違う
多くのTAB譜は、専門の採譜者(スコアメーカー)が耳で音源を聞き取って作成しています。前述の通り、ギターは同じ音が複数箇所で鳴らせるため、本人が実際にどこで弾いているかを音だけで100%正確に当てることは至難の業です。採譜者の「自分ならここで弾く」という解釈によって運指の指定が変わります。
ライブと音源で本人の演奏が違う
レコーディングの時と、ライブで演奏する時の運指やアレンジを変えるアーティストは多数存在します。ライブ映像を見て「TAB譜と全然違う!」と思っても、実はCD音源の通りに忠実に採譜されているだけ、ということもよくあります。
ギターが複数重なっている
プロのレコーディングでは、2本、3本と複数のギターを重ねて録音(オーバーダビング)して音の厚みを出しています。1本のギター用として作られたTAB譜では、複数のギターパートのおいしいフレーズを1つにまとめて(リエディットして)記載することがあり、結果的に原曲のどのギターとも完全に一致しない譜面になることがあります。
どのTAB譜を使えばいい?

同じ曲でも複数のTAB譜が存在する場合、初心者は以下の基準で選ぶと練習がスムーズに進みます。
- 公式・市販の楽譜: アーティスト本人が監修したものや、プロが採譜した市販のバンドスコアは、運指の合理性も含めて信頼性が高いです。
- 演奏したいバージョンに近い譜面: CD音源をそのまま弾きたいのか、特定のライブのアコースティックバージョンを弾きたいのかで選びます。
- 自分のレベルで無理なく弾ける譜面: 初心者のうちは原曲の完全再現にこだわるよりも、省略コードなどを使って「曲として最後まで通せる」難易度のものを選ぶことが上達の近道です。
公式のバンドスコアであっても、本人がレコーディングで押さえた場所を完全に再現しているとは限りません。まずは「音楽として成立し、弾いていて楽しいこと」を優先して楽譜を選んでみてください。
TAB譜は「絶対の正解」ではなく演奏の手がかりとして使おう
TAB譜は視覚的に押さえる場所がわかる非常に便利なツールですが、すべての数字を絶対の正解として鵜呑みにする必要はありません。
- TAB譜ごとに数字が違っても、間違いだと慌てない
- まずは音が合っているか、不協和音になっていないかを確認する
- 自分の手の大きさやクセに合わせて、弾きやすい運指(別の弦の同じ音)に変更してもよい
- 原曲をよく聴いて、スライドやチョーキングなど、楽譜に表れにくいニュアンスを感じ取る
- 慣れてきたらTAB譜の数字だけでなく、自分の耳でも音を確認する習慣をつける
数字を追うだけでなく、「なぜこの場所を押さえる指定になっているのか」を少しずつ意識し始めると、ギターの指板全体の理解が深まり、原曲との違いに気づいた時も柔軟に対応できるようになります。
独学での行き詰まりを感じたら、プロに相談してみよう
TAB譜の数字を正確になぞるだけでは、「なぜここを押さえるのか」「どう弾けば原曲らしいカッコいいニュアンスが出るのか」まではなかなか読み取れません。独学で練習していて「どうしても原曲っぽくならない」「このフレーズだけ指が届かない」といった限界を感じたら、プロの講師に直接教わるのが一番の近道です。
クラブナージ音楽教室のエレキギターコースでは、楽譜の正しい読み方から、実際の音源を聴きながら原曲のニュアンスに近づける実践的な弾き方まで、一人ひとりのレベルに合わせてマンツーマンで丁寧にアドバイスします。複数の運指がある中で、あなたにとって一番無理のない弾きやすいポジションを講師と一緒に見つけることも可能です。
「この曲のこの部分だけがどうしても弾けない」といったピンポイントな疑問も、その場ですぐに解決できます。まずは手ぶらで参加できる無料体験レッスンで、プロの指導による弾きやすさの変化を体感してみてください。
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この記事の監修者
橘 レイジ 音楽ライター/クリエイティブディレクター
幼少期のピアノ経験に加え、ギター、ベース、ドラムなどバンド楽器全般の演奏やDTM作編曲を網羅。大学卒業後は音楽関連企業での企画・音源制作・エンジニアリング実務を経て、現在は広告制作のディレクターとして活動中。演奏・制作・演出の3つの現場経験に基づき、音楽の魅力を専門的かつ論理的に解説する。


