『アルセナール』〜誰もが一度は通る、コンサート・マーチの最高峰〜
公開日:2026.09.02 更新日:2026.08.30吹奏楽上達のコツ音楽のマナビ
吹奏楽の演奏会やコンクールのオープニング、式典や新歓演奏会など、あらゆる場面で演奏されるヤン・ヴァン・デル・ロースト作曲の『アルセナール(Arsenal)』。単なる「行進曲」の枠を超えて、世界中で愛され続けるこの傑作吹奏楽曲の魅力と深みについて紐解きます。
https://www.youtube.com/watch?v=7zsvdBWcjnc
目次
1. 誕生の背景:軍楽隊の気品と「兵器廠」の名を冠した名曲
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ベルギーの名匠による1995年の傑作作曲者は『マーキュリー』『フラッシング・ウインズ』などで知られるベルギーの作曲家、ヤン・ヴァン・デル・ロースト(Jan Van der Roost)。
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「アルセナール」という曲名の由来タイトルはフランス語や英語で「兵器廠(へいきしょう / 工廠)」を意味します。ベルギーのヘント(Gent)にあった鉄道工廠の吹奏楽団「Harmonie van het Arsenaal」の創立50周年を記念して委嘱・作曲されました。
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「コンサート・マーチ」の代表格足取りを合わせて歩くための「行進曲」ではなく、ホールで鑑賞するための「シンフォニックなコンサート・マーチ」というジャンルを吹奏楽界に完全に定着させた一曲です。
2. 奏者が語る!パート別「アルセナールあるある」
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トランペット/コーネット:バンドの顔となるファンファーレ
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冒頭の輝かしいファンファーレでその日のバンドの「サウンド」と「緊張感」がすべて決まります。
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アメリカン・マーチのような派手さではなく、ヨーロピアンな「気品」と「豊かな響き」が求められるため、力任せに吹くと一気に台無しになる繊細さがあります。
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ユーフォニアム/トロンボーン:対旋律(カウンターメロディ)の宝庫
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中間部(トリオ)などで主旋律の下を包み込むように流れる美旋律を担当。
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特にユーフォニアム奏者にとっては、持ち前の温かい音色を存分にアピールできる「おいしい見せ場」の宝庫です。
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木管セクション(フルート・クラリネット):流れるようなレガートと華やかな連音
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マーチでありながら非常に歌心のあるフレーズが多く、音の端々を滑らかにつなぐ高いコントロールが求められます。
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後半に向けた装飾フレーズやオブリガートは、楽曲に華やかさと奥行きを与えます。
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スネアドラム(小太鼓):格調高さを支配するテンポの司令塔
- 決して走らず、重くなりすぎず、ノーブルなテンポ(♩= 116)を淡々とキープする職人技が必要。
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細かいロールやオープン・リムショットの塩梅で、バンド全体の高級感がガラリと変わります。
3. なぜ「名曲」なのか?楽曲構造の3つの美学
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ヨーロッパの気品漂う「旋律と和聲(ハーモニー)」スーザなどのアメリカン・マーチのような明るく軽快なサウンドとは対照的に、長調でありながらどこか荘厳で優雅なヨーロピアン・サウンドが特徴。重厚なコード進行が聴く者の胸を打ちます。
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緻密に計算された「Grandioso(グランディオーソ)」へのカタルシス提示部から中間部へと優美に展開し、ラストのGrandioso(大々的に・堂々と)で全合奏が黄金色のハーモニーを爆発させます。この音圧と響きの高揚感は、奏者・観客双方にとって最大のクライマックスです。
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編成を選ばない「完璧なオーケストレーション」小編成の中学校バンドが演奏しても、プロの自衛隊・警察音楽隊が演奏しても、楽譜通りの美しいバランスが鳴るように徹底的に計算されています。
4. 「一味違う」アルセナールにするための演奏ポイント
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音の「長さ」と「保ち(サステイン)」を意識する音を短くブツブツ切ると普通の行進曲になってしまいます。音のイントネーションを保ち、フレーズを横に長く歌うことで、ヴァン・デル・ロースト特有の「重厚で温かいベルギー・サウンド」が生まれます。
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内声部(アルト・テナー・ホルン)の和声を鳴らすメロディとベースに挟まれた和声(3度や7度などの構成音)をしっかり響かせることで、ハーモニーの奥行きが一気に深まります。
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