新しいギターが欲しい……どう我慢する?物欲と上手に付き合う考え方
公開日:2026.08.06 更新日:2026.08.02バンド楽器
エレキギターは、一本持っていれば十分に演奏を楽しめる楽器です。それなのに楽器店へ行くと、違う形、違う色、違う音のギターが次々と目に入ります。今のギターに大きな不満はないはずなのに、「こういうタイプも一本欲しい」と考え始めてしまう。ギターを弾く人にとって、珍しい悩みではありません。
エレキギターは、ボディーの形や材質、搭載されているピックアップ、弦の長さ、ネックの握り心地などによって、音や弾き心地が変わります。見た目の選択肢も非常に豊富です。知らなかった種類を見つけるたびに欲しくなるのは、ある意味では自然な反応でしょう。
しかし、気になるギターを毎回購入していれば、お金だけでなく置き場所や管理の手間も増えていきます。そこで今回は、欲しい気持ちを無理に否定するのではなく、本当に必要な一本かどうかを落ち着いて判断する方法を考えてみます。
目次
なぜ新しいギターが次々に欲しくなるのか
新しいギターが欲しくなる理由は、今の楽器への不満だけではありません。「まだ持っていない音が出そう」「この形なら違うジャンルに挑戦できそう」「好きなギタリストと同じタイプを使いたい」など、楽器そのものが新しい可能性に見えるからです。
購入を考えている時間も楽しいものです。製品の写真を眺め、試奏動画を見て、色や仕様を比較する。その段階では、まだ実際の費用も管理の手間も発生していません。期待だけが大きくなりやすいため、現物を見た瞬間に「今買わなければ」と感じることがあります。
ただし、欲しいと思った理由が明確でなければ、購入後に役割が重なる可能性もあります。現在のギターと見た目は違っていても、実際に弾く曲や出す音はほとんど同じ、ということもあるでしょう。
まずは今の機材で欲しい音を再現してみる
新しいギターが欲しくなったら、最初に試したいのが、現在の機材でどこまで近づけられるかを確認することです。欲しい理由が音色にあるなら、アンプの設定やエフェクター、ギター本体のつまみを見直してみましょう。
エレキギターには、一般に音量を調整するボリュームと、音の明るさを変えるトーンのつまみがあります。ピックアップを複数搭載したギターなら、切り替えるだけでも音の輪郭や太さが変化します。それでも普段は、つまみを常に最大にし、同じピックアップだけを使っている人も少なくありません。
さらに、ピックを当てる位置や強さ、弾く指の角度でも音は変わります。新しいギターでなければ出せないと思っていた雰囲気が、弾き方や設定の工夫で意外に近づく場合があります。
試しておきたいこと
- ピックアップの位置を切り替える
- ボリュームやトーンを少しずつ動かす
- アンプの低音・中音・高音を調整する
- ピックを当てる場所や強さを変える
- 弦の種類や太さを見直す
試した結果、やはり現在の機材では出しにくい音があると分かれば、その時点で購入理由が具体的になります。「何となく欲しい」から「この役割を補うために必要」へ変わるわけです。

購入価格以外のコストも詳しく考える
ギターを買うときは、本体価格に意識が集中しがちです。しかし実際には、購入した後にもさまざまな負担が生じます。それらを具体的に想像すると、一時的な物欲か、本当に必要な買い物かを判断しやすくなります。
部屋の空間を使う
ギターは細長いものの、ケースやスタンドまで含めると一定の場所を取ります。本数が増えれば、演奏する場所や生活空間が狭くなることもあります。倒れにくく、湿気や直射日光の影響を受けにくい置き場所を確保できるかも考えなければなりません。
消耗品とメンテナンスが増える
弦は使用状況に応じて交換が必要です。しばらく弾いていないギターでも、弦や金属部分の状態を確認し、ほこりを落とす手間がかかります。ネックや弦高などの調整が必要になる場合もあります。本数が増えるほど、一台ずつにかけられる時間は少なくなります。
今持っているギターを弾く機会が減る
新しいギターを迎えれば、しばらくはそちらを手に取る時間が増えるでしょう。その結果、現在の愛用楽器がケースに入ったままになるかもしれません。購入前に「この一本を増やしたら、どのギターを、どの曲で使うのか」と役割を考えてみると、重複に気づけます。
新しいギターを目標達成のご褒美にする
ただ我慢するだけでは、欲しい気持ちが頭から離れなくなることがあります。そこで、「もっと上手くなったら買う」「この曲を最後まで弾けるようになったら買う」と条件を決める方法があります。
ただし、「上手くなったら」では基準が曖昧です。上達には終わりがなく、いつまでも購入できない理由になってしまいます。期限と内容を具体的にすると、練習の目標として機能します。
- 練習中の一曲を最初から最後まで止まらずに弾く
- 苦手なコードチェンジを一定の速さで弾けるようにする
- バンドや発表の機会に向けて数曲を仕上げる
- 一定期間、毎週決めた回数だけ練習を続ける
目標を達成するまで時間を置くことで、欲しい気持ちが一時的なものかどうかも分かります。数週間後も同じギターが必要だと思えるなら、勢いだけの買い物ではない可能性が高くなります。

それでもどうしても欲しくなったら?
我慢する方法をすべて試しても、どうしても欲しいギターはあります。その場合は、欲しがること自体を悪いことと考える必要はありません。予算、置き場所、使用目的を整理し、生活に無理がないなら、購入も一つの選択です。
ただし、店頭で気持ちが高ぶったまま決めるのではなく、一度その場を離れるのがおすすめです。欲しい理由、今のギターとの違い、主に弾きたい曲、保管場所を書き出してみましょう。試奏できる場合は、音だけでなく、重さ、ネックの握りやすさ、座ったときと立ったときの弾き心地も確認します。
また、購入するなら「増やす」のか「入れ替える」のかを決める方法もあります。現在のギターを手放す必要はありませんが、使用頻度が極端に低い楽器があるなら、今後も所有する理由を一度考えてみてもよいでしょう。
購入前の最終確認
欲しい理由を「音」「弾き心地」「演奏する曲」「見た目」に分け、そのギターでなければ満たせない部分を考えます。複数の理由が具体的に残るなら、購入後も使い続けられる一本である可能性が高まります。
今のギターの可能性を演奏から見つけよう
新しいギターを探すことは楽しい一方で、現在持っている楽器にも、まだ試していない音や弾き方が残っているかもしれません。曲や奏法を学び、アンプの設定を変えながら演奏すると、一本のギターで表現できる範囲が少しずつ見えてきます。
クラブナージ音楽教室には、エレキギターコースがあります。これからギターを始めたい方はもちろん、今持っているギターをもっと生かしたい方も、演奏を学ぶことを通して楽器との付き合い方を深めてみてください。
まとめ
新しいギターが欲しくなったら、まず現在の機材で欲しい音を再現できないか試してみましょう。そのうえで、本体価格だけでなく、置き場所、消耗品、メンテナンス、今のギターを弾く時間まで含めて考えます。
曲の完成や練習の継続を購入条件にすれば、物欲を上達のきっかけに変えることもできます。それでも欲しい気持ちが残り、予算と使用目的が明確なら、我慢だけが正解ではありません。大切なのは、勢いで増やすのではなく、新しい一本が自分の演奏にどのような役割を加えるのかを理解して選ぶことです。
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この記事の監修者
橘 レイジ 音楽ライター/クリエイティブディレクター
幼少期のピアノ経験に加え、ギター、ベース、ドラムなどバンド楽器全般の演奏やDTM作編曲を網羅。大学卒業後は音楽関連企業での企画・音源制作・エンジニアリング実務を経て、現在は広告制作のディレクターとして活動中。演奏・制作・演出の3つの現場経験に基づき、音楽の魅力を専門的かつ論理的に解説する。


