吹奏楽特有の用語について
公開日:2026.05.09 更新日:2026.04.29クラシック楽器音楽を始めよう♪上達のコツ音楽のマナビ
音楽経験者であっても、吹奏楽の世界に足を踏み入れると、他のジャンルにない独特の言葉選びに驚かされることがあります。今回は、吹奏楽特有の用語を、他ジャンルとの対比で解き明かしていきます。
目次
1. 基準は「A(ラ)」ではなく「B♭(ベー)」
オーケストラのチューニングといえば「A(ラ)」ですが、吹奏楽のチューニングは「B♭(シのフラット)」から始まります。 これは、トランペットやクラリネットといった主力楽器の多くが「ドを吹くと実音B♭が出る」楽器(B♭管)だからです。ピアノでいう黒鍵の音が、彼らにとっての「ド」。この「実音(じつおん)」と「記譜音(きふおん)」が日常的に混在するため、合奏では「実音のドで!」といった、他ジャンルでは耳慣れない指示が飛び交います。
2. クラリネットが「オーケストラ」におけるバイオリン
吹奏楽にはバイオリンがいません。その役割を担うのがクラリネットです。そのため、バンド全体のリーダーである「コンマス(コンサートマスター)」は、第1クラリネットのトップ奏者が務めるのが通例です。
指揮者が登場し、真っ先に握手を交わすのはバイオリニストではなくクラリネット奏者――。これが吹奏楽における「現場監督」の肖像です。
3. 「連符」は速弾きの代名詞?
音楽理論において「連符」といえば、3連符や5連符を指します。しかし、吹奏楽の現場で「ここの連符がヤバい」と言った場合、それは必ずしも変則的な分割を指すわけではありません。
多くの場合、それは「高速で敷き詰められた16分音符のパッセージ」を指します。理屈よりも、指が回るかどうかの死闘を表現する「速弾き」に近いニュアンスで使われる言葉なのです。
4. 絶対的な「連盟」という存在
吹奏楽文化を語る上で欠かせないのが、一般社団法人全日本吹奏楽連盟、通称「連盟」です。
彼らが主催するコンクールは、まさに吹奏楽界の「甲子園」。毎年発表される5曲前後の「課題曲」は、全国数千の団体が数ヶ月かけて磨き上げるため、その年の吹奏楽界のトレンドを決定づけます。1秒の演奏時間オーバーも許されない厳格なルールと、そこに捧げる情熱は、もはや「音楽」という枠を超えた「競技」の側面すら持っています。
5. 略称に込められた愛着
楽器の呼び方も独特です。
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ボーン:トロンボーン
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ペット:トランペット
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バスクラ:バスクラリネット
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ベー:B♭管のチューバ
これらは単なる省略ではなく、同じ釜の飯を食う戦友としての愛称に近い響きがあります。
結びにかえて
スコアを読み込み、タセットの長さに耐え、ここぞという場面でベルを高く掲げる(ベルアップ)。吹奏楽の用語を知ることは、彼らが音の一体感と「揃える美学」にどれほどの情熱を注いでいるかを知る一歩になるはずです。
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この記事の監修者
鈴木 憲道 音楽ライター/作詞家・作曲家・演奏家・音楽教育者
国公立大学の音楽学部で作曲を学ぶ。


