ギターソロは必要か?
公開日:2025.11.01 更新日:2025.10.18バンド楽器
目次
ギターソロは必要か、あるいは不要か
「ギターソロは飛ばす」という意見がSNSで話題になったのは、2022年のことでした。発端はシンガーソングライターの高野寛氏による「サブスクで、ギターソロが始まるとスキップする若者が多い」というツイートで、これが大きな議論を呼びました[All About]。 この一言に、King Gnuの常田大希やくるりの岸田繁、さらにはギターヒーローのマーティ・フリードマンまでが反応し、音楽ファンの間で「ギターソロ不要論 vs 必要論」が白熱したのです。
イントロが短くなり、ソロが消える時代背景
まず前提として、近年のヒット曲はイントロや間奏が極端に短くなる傾向があります。ある調査によれば、1990年代には平均20秒以上あったイントロが、現在では5秒程度にまで縮小しているといいます[音楽ナタリー]。 これは「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視するリスナーが増えたことと無関係ではありません。サブスク時代、次々と曲をスキップできる環境では、長いソロや間奏は「退屈」と感じられやすいのです。
肯定派の主張:ギターソロは音楽のスパイス
では、ギターソロ肯定派は何を主張しているのでしょうか。 彼らにとってギターソロは「曲の感情を爆発させる瞬間」であり、歌詞では語れない心情を音で表現する手段です。
たとえば、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」におけるブライアン・メイのソロは、歌のドラマをさらに盛り上げる“第二のボーカル”のような役割を果たしています。 また、バンドにおけるギターは普段は伴奏に徹することが多いですが、ソロの瞬間だけは主役に躍り出ることができる。これは観客にとっても「おお、来たぞ!」とワクワクする見せ場なのです。
さらに、ギターソロは単なる自己満足ではなく、曲全体の構成において重要な役割を担うことがあります。サビに向けて盛り上げるブリッジとして機能したり、曲の雰囲気を一変させる転換点になったりするのです。 肯定派にとってギターソロは「料理におけるスパイス」のような存在。なくても成立はするけれど、あると一気に味わい深くなる、というわけです。
否定派の主張:ソロは時代遅れ?
一方で、否定派の意見も無視できません。 彼らは「ギターソロは曲の流れを止めてしまう」と考えます。特にポップスやアイドルソングのように、歌詞やメロディを中心に楽しむリスナーにとって、長いソロは「早送りしたくなる部分」になりがちです。 実際、グラミー賞にノミネートされるロック曲からもギターソロが消えつつあるという指摘もあります[All About]。
また、否定派は「ギターソロはギタリストの自己満足に過ぎない」と批判します。速弾きやテクニックを見せつけるだけのソロは、リスナーにとっては退屈でしかない。 さらに、現代の音楽制作ではDTM(デスクトップ・ミュージック)が主流となり、ギター以外の音色やエフェクトで十分に曲を盛り上げられるため、「ソロは必須ではない」という考え方も広まっています[ギターエージェント]。
両者の間にあるグレーゾーン
しかし、議論を単純に「必要か不要か」で切り分けるのは乱暴かもしれません。 実際には「魅力的なソロなら歓迎されるが、退屈なソロなら飛ばされる」というのが現実でしょう。 つまり、問題は「ソロそのもの」ではなく「ソロの質」にあるのです。 マーティ・フリードマンも「問答無用で聴きたくなるようなソロを作ればいい」と語っており、これは肯定派・否定派の溝を埋めるヒントになるかもしれません。
まとめ:ギターソロは「必要か」ではなく「どう活かすか」
結局のところ、「ギターソロは必要か?」という問いに対する答えは「場合による」としか言えません。 ソロが曲の感情を高め、聴き手を魅了するならば、それは必要不可欠な要素です。逆に、ただの自己満足で曲の流れを止めるだけなら、不要とされても仕方がないでしょう。
つまり、ギターソロの価値は「あるかないか」ではなく「魅力的かどうか」にかかっているのです。 料理に例えるなら、塩を入れすぎればしょっぱくなるし、入れなければ味気ない。大事なのは「ちょうどいい塩梅」であり、ギターソロもまた同じ。
もしあなたがサブスクで曲を聴いていて、ギターソロが始まったら、すぐにスキップする前にちょっとだけ耳を傾けてみてください。 もしかすると、その数十秒の間に、ギタリストが全身全霊を込めて語りかけている“言葉にならない物語”が隠れているかもしれません。
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