スタジオジブリの作品には美しく、どこか郷愁を誘うメロディが数多く存在します。これらの旋律はバイオリンによく合い、繊細な表現から情感豊かな盛り上がりまで、さまざまなニュアンスを楽しむことができます。本稿では、初心者の方にもわかりやすく、かつ専門家の視点から見た際に押さえておきたいポイントを整理してみました。
1. バイオリンにぴったり合う主要なジブリ作品
(1) 「君をのせて」(『天空の城ラピュタ』)
・シンプルながら力強いメロディ。
・中音域から高音域への移行が多く、バイオリンの美しさを引き出しやすい。
(2) 「となりのトトロ」(『となりのトトロ』)
・明るく、リズミカル。弓の毛を弦に引っ掛けてしっかりとした発音が求められる。また、テンポ感をつかむ練習にも適している。
・子どもから大人まで親しみやすい曲なので、発表会やイベントでも盛り上がる。
(3) 「海の見える街」(『魔女の宅急便』)
・爽やかで軽快なメロディ。弓の運びをスムーズに行う練習に適している。
・中間部でややドラマチックな響きが必要になるので、ビブラート表現の習得にもよい。また、音色の違いを表現するためのサードポジションの使い方も練習できる。
(4) 「あの夏へ」(『千と千尋の神隠し』)
・しっとりとした旋律が印象的。ゆったりとしたテンポなので、ビブラートや弓使いをじっくり磨く機会になる。
・音の伸びをしっかり活かし、繊細な表現が鍵になる曲。特に2音間のスラーにおいて、歌っているように聞こえるための弓の配分が求められる。
(5) 「人生のメリーゴーランド」(『ハウルの動く城』)
・ワルツ調でありながら哀愁漂うメロディが魅力。曲のもつ印象を再現するためには、美しい音を弾く必要があり、そのためのバイオリンの基礎力が求められる。
・フレーズが長く、ボウイング(弓の配分)が難しめなので、上達を実感しやすいレパートリー。
2. 弓をまっすぐ使うためのコツ
バイオリンの音色を美しく安定させるために、弓の運びをまっすぐに保つことは非常に重要です。